間違ったダイバーシティが、本来のダイバーシティを壊す

最近、働き方改革が急速に進んでいます。働き方改革とは色々なアプローチがあります。さかえ経営では大きく分けて、下記の2つであると考えています。

(1)業務の効率化、生産性向上に向けた取り組み

(2)多様な人材を受け入れる人事・コース制度等

それらの取り組みをすることにより、下記のような効果を得ることができます。

(1) 労働時間の短縮、それに伴う余暇等その他の時間の創出

(2) 従来働くことが難しかった人材の活用

 

しかし、ネット・SNS等をはじめとする一部の記事において、「働かない社会」の実現に議論がすり替わっているような印象を受けます。さらに、それがますます増長して、サービス過剰論や小売外食産業の24時間営業禁止論にまで波及してきています。このような姿が「働き方改革」と言えるのでしょうか。

確かに、これまで、会社にいなければならないという空気が支配されてきたように思われます。また、長時間労働を美徳する風潮があったのも事実です。

 

「働き方改革」で重要な考え方は、「企業の発展を考えながら、従業員、強いては組織の活性化を促進する」ことが必要だと考えています。

企業にとっても、資本主義である以上、利益を出さなければなりません。一方で、従業員にとっては、生活の手段であると同時に、一部の人にとっては、趣味であり、生きる糧となっている場合すらあります。

 

人材労務マネジメント上のあるべき姿とは、コンプライアンスを維持しつつ、様々な人材を活用し、仕事が楽しいと思える(人によって格差はあるが)ような組織だと考えています。そのための「働き方改革」であるべきだと考えています。具体的には、多様な人材を受け入れる人事制度であり、生産性向上・業務の効率化をするような人員配置であり、業務分担、QC等の活動であり、その他には意識の醸成を促すための仕掛けづくりだと考えています。

単に、労働時間削減、長時間労働の是正という側面のみで考えると、企業の風土・制度によっては、生産力が大きく下がるばかりではなく、情熱を持っている人のモチベーションの停滞、さらには離職と言った事態にもなりかねません。ダイバーシティとは本来多様な人材を活用するという趣旨です、さかえ経営では、時間に制約のある人、仕事はあくまでも生活の手段だとしている人、仕事を糧としている人など、その人の考え方・状況に応じた人材労務マネジメントが必要だと考えています。

 

所謂、「仕事人間」を否定するということは、ダイバーシティ本来の趣旨からは異なります。また、ワークライフバランスとは、あくまでも仕事と生活(余暇)とのバランスという意味であり、仕事をしない、そこそこ仕事をするという意味ではありません。

その部分をきちんと理解して、「働き方改革」に取り組む必要があるかと思います。

 

一部報道にもありましたが、このような本来とは違った方向性は、「ゆとり教育」に近いものを感じます。ゆとり教育の末路は、すでにご承知の通りです。10年、20年後の日本企業がどのようになっているのか、非常に懸念するところであります。失敗の最大の理由は、国際競争力の低下、教育格差の拡大を招いたからだと考えています。

これを「働き方改革」にフォーカスすると、現在のビジネスはグローバル化の波が押し寄せています。賛否はあるものの海外のマーケットは無視できない状態です。その中で、間違った形で進んでしまうと、競争力が停滞し、市場から撤退する恐れもあります。しかし、一方で、チャンスだとも言えます。人材を上手く活用した企業が、活用を誤った企業を凌駕出来る可能性が出てきているからです。特に、ベンチャー企業をはじめとする、挑戦する立場の企業にとっては、設備でなく、資金でもなく、人材の活用という極めてソフト分野において、差別化を図ることができます。

良い意味の格差を起こすことが可能になってくると言えます。

 

業務効率化により生産性を高める施策を打ち、幅広い人材に対応する制度の導入し、そして、仕事が楽しいと思える仕掛けづくり、その3つを同時に行い、且つ、その導入状況をモニタリングし、改善アクションを継続することが、これらの時代の勝ち残っていくための唯一の手段であると考えています。

 

そのためには、目先の施策や他社動向に左右されることなく、まず、どの部分に問題があるのか、その問題はどのような施策を打つことによって解決するのかというグランドデザインから入ることがベストだと思います。

 

 

2016年11月21日