AI時代に備えた人材マネジメントの在り方

昨今、大手メガバンクの人員削減が報道されています。要因はいくつかありますが、融資や窓口業務などある程度定型的な業務において、人員を割く必要がなくなったことが要因だと思われます。

比較的景気が良いとされている中で、この報道は一定のインパクトを与えました。

しかし、注目しなければならないのは、リストラ等を行わず、「自然減」で対応するとのことです。具体的には新規採用を控えるということです。

 

弊社としては、冊子やコラム等にて、訴えてきたことが現実味を帯びてきました。

メガバンクのような定期的な採用を行い、ある程度優秀な人材が多く在籍する中だからこそできるアプローチだと考えています。

人材不足が深刻な多くの企業は、優秀な人材の採用・育成を行っていく必要があるかと思います。人材不足といっても、単純な頭数ではなく(勿論、業種によっては必要でしょうが)、必要な人材が不足しているという現状からです。

一方で、時間外労働時間の上限を罰則付きで設定しようという動きもあります。

以上のようなことから、企業の人材マネジメントとは、人材の高度化・企画化が不可欠であると考えています。

 

しかし、人材の高度化・企画化に伴い、経験などが必要とされる場面が少なくなってきています。一歩間違えると、自らの業務をなくす可能性もあります。人材マネジメントのポイントとして、どのような業務が向いているか、業務・会社に対しての姿勢などの要素を図ることにより対応していく必要があります。

 

2030年には、今の仕事の半分がAI等に代わるとの試算もあります。想定される企業における業務に例えると、

1.給与計算、経理業務、受注処理等の事務作業

2.物流業務

3.生産(製造)関連

4.その他入力系を中心とした業務

などが挙げられます。一方で、企画業務や、高度な判断を要する業務、全く経験したことがない業務等が残るものと思われます。

 

具体的な業務の軽減、人員の割り振りについては、まだまだ未知数な部分があります。しかし、従前の業務に対して、人の手が必要でなくなることは明確です。

30年程前から、パソコンが投入され、オフィスの効率性は著しく上がりました。特に、事務作業を中心に、関与している人員が大きく減りました。また、残った業務に関しても、格段に労力がかからなくても済むようになり、経験・スキル等を要さずに出来るようになりました。

その時は、景気も後退してしまい、新規採用を控えるとともに、派遣社員等が増えたこともあり、オフィスの風景は大きく変わったことかと思います。

以前にパソコンが導入された時のように、段階的にオフィスの姿が変わることが予想されます。働き方改革や人材不足も影響して、今後、10数年にかけて、作業効率は飛躍的に伸びるかと思います。しかし、同時に、人の役割が変わることを意味しています。これまでの作業がなくなるのと同時に、違う役割を担うことになるかと思います。しかし、当時もそうだったように、単純にシフトすることは難しいと思われます。そこには人材のミスマッチがあることが予想されます。

 

今後、人の役割がシフトするにあたって、どのような人材マネジメントが必要になってくるのでしょうか。将来の業務とスキル等のミスマッチを防ぐために、何かしらの対応が必要になってくるかと思います。

今後、人工知能が浸透する中、定型的なものは勿論、判断を要するものについても、人の力を必要としなくなるにあたって、人の業務が軽減されると思われます。しかし、それには、そのように企業の人材マネジメントは変化していく必要があると思われます。

 

それでは、どのようなマネジメントが必要なのでしょうか。

縦軸「人間への影響」、横軸「生産性への関心」で構成されている、一般的な組織の形態(マネジェリアルグリッド)ごとに考察したいと思います。

「人間への影響」とは、職場環境の良し悪し、人間関係など、職場風土の状態を表し、「生産性への関心」とは、業績へのこだわり、会社の発展に対する意識など、仕事に対する考え方や姿勢などを指します。関係性としては、所謂、雰囲気がいい職場であったとしてもそれだけでは、単に”仲良し集団“になってしまい、生産性への関心とは別の問題です。一方で、生産性への関心を強制的に持たせることも可能だと考えられています。その考え方が、成果主義が成長した背景でもあります。一方で、職場がギスギスしたという話も多数あったかと思います。

 

つまり、あるべき人材マネジメントとは、人間への影響と、生産性への関心双方のバランスが取れている状態が望ましいとされています。今後、業務がシフトしていく中で、先述の2つのバランスが重要になると考えています。つまり、職場環境が良好でないと、自発的に前向きな発想を持つことが難しく、また、生産性の関心も高くなければ、改善活動等変化についていくことができないと考えています。

また、業務がシフトするにあたって、「業務のブラックボックス化」が懸念されます。業務のブラックボックス化の原因としては、「その業務から外れることを懸念している」「社内の居場所がなくなる」「その結果、リストラされる」などの理由かと思われます。それら2つのバランスを考えて、そのような考えになるのを避けていかなければなりません。

 

AI時代に向けたこれからの企業の人材マネジメントとは、「人間への影響」と「生産性への関心」の両軸で考えていく必要があります。

 

 

 

2017年12月04日