有給休暇の理由を偽ると懲罰の対象?有休の利用方法は自由だが虚偽申請は問題
最終更新日:2024.10.24
目次
病気を理由に有給を申請しているが、実際は遊びに使っている
当社の従業員の中に、偽りの理由で頻繁に有給休暇を取る人間がいるようです。
「熱を出したので休ませてくれ」と届け出ているにもかかわらず、彼女が昼間ショッピングを楽しんでいたとの同僚による証言がありました。
本人から事実確認が取れ次第、この従業員に処罰を与えることができるのでしょうか。
有給をどう利用するかは自由だが、虚偽の申請は処分の対象になる
年次有給休暇の利用目的については、労働基準法の関知しないことであり、休暇をどう利用するかは、
であるとされています(全林野白石営林署事件・最二小判・昭48・3・2労判197号55頁)。
しかし、欠勤にできないまでも、
後日、虚偽の記載があったことが判明した場合には懲戒処分の対象とすることが考えられます。また、そのような従業員等に関しては、評価や昇給等別の対応をする必要があります。
さかえ経営では、有給休暇取得など様々な就業規定の策定のサポートを行います。
時間外手当ルール、36協定の運用、長時間労働対策、などをどのようなルールにしたら上手く運用できるか分からない。全て法律どおりに制度を構築すると業務が回らなくなってしまう。などお悩みのお持ちの企業の方、まずはお気軽にご相談ください。
虚偽の申請を許すと、今後も適正な申請手続きがされない可能性が増す
有給休暇の事由については問うことができないため、ショッピングそのものについては問題ありませんが、虚偽の申告をしたということについて、それらを看過すると、今後有給休暇の手続きにおいて、適切になされない可能性が増します。
また、適正な手続きを踏まない取得が目立つようになります。さらに、
が認められていますが、管理ができていないと、これらの権利の行使も難しくなる可能性があります。
会社には時季変更権が認められている
年次有給休暇を取得するには、社員は具体的な時期を指定するだけで良いが反面、会社に時季変更権が認められていることから、
そのため、有給休暇取得において、理由を明記するように記載しておく必要があり、また、ある一定時期までに提出するように規定しておくことも重要になります。
懲罰を与えない場合も、嘘に対しては厳しく指導が必要
現実的には懲罰を与えることができませんが、やはり嘘を言ったことに対しては、厳しく指導することが必要だと思います。
しかし、年次有給休暇に虚偽の理由を記載したという一事をもって懲戒処分をを行うことは、懲戒処分の相当性(労働契約法15条)の観点から問題になりかねないので、会社としては、
② 当該社員の過去の処分歴など
を確認・考慮の上、注意・指導に留めるのか慎重に判断する必要があります。
また、改善しない場合は、おそらく他にも何か影響を及ぼすような行動等をしていると思われますので、それを理由に評価や昇給等において、差を設けることが必要だと思います。
人材マネジメント上のポイント
虚偽の申告としたということに関して、ルールの構築等が重要になりますが、意識面の改善も図ることが必要だと思われます。
アプローチは様々ですが、一例として、当該組織のタスク・目標の共有が挙げられます。目標管理がその手段の一つですが、本来、会社全体目標からブレイクダウンされた、
を、上司と部下でその都度、考え、改善していくことが本来の流れです。その仕組みを活用して、組織のミッションを構成員すべてにタスク分けを行い、進捗を管理するという別のアプローチが必要になります。その際、勿論、従事しているジョブ、そして、それに紐付くグレードに応じて、そのタスクが割り振られるべきだと思われます。
さかえ経営では、有給休暇取得など様々な就業規定の策定のサポートを行います。
時間外手当ルール、36協定の運用、長時間労働対策、などをどのようなルールにしたら上手く運用できるか分からない。全て法律どおりに制度を構築すると業務が回らなくなってしまう。などお悩みのお持ちの企業の方、まずはお気軽にご相談ください。