退職前の有給休暇は全て消化しないといけない?未消化の場合は買い上げできる?
最終更新日:2024.10.24
目次
有給を全て消化されると、引継ぎの時間が取れなくて困る
1か月後に退職する予定の従業員から、これまでに残っている有給休暇の取得申請がありました。
残日数が20日もあり、すべて消化されてしまうと引き継ぎ等に支障をきたす恐れがあります。
どのように対応すれば良いでしょうか。
従業員が認めれば、有給休暇の買い上げ可能
有給休暇には「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の妨げになる場合には、他の時季に与えることができる」時季変更権が認められていますが、
と考えられています。
しかし、未消化分の有給休暇の買い上げを提案することは差支えなく、また同様に従業員からもちかけられた場合でも会社がこれに応じることは可能でしょう。
ただし、
従業員が「絶対に有給休暇を使う」と主張した場合には、会社として強制的に買い上げることはできません。
まずは社員と交渉し、退職日等の調整を行うことが望ましいと思われます。
さかえ経営は、退職に関する問題解決の支援をいたします。
社会保険労務士と経営コンサルタントが、法律と経営の両方の視点から、解雇の問題の解決を支援いたします。
まずはお気軽にご相談ください。
計画的な退職の準備が大切
計画的に退職準備を進めないと、引き続き業務に支障をきたし会社が被る損害が大きくなります。
話し合いをする場合であっても、従業員に出勤を求めるわけですから、当の従業員からすれば当然な流れとしてその見返りを要求してくることになります。
話がこじれてしまうと、「有給休暇をとらせない」会社としてインターネット上に書き込まれ、会社に対して悪いイメージをもたれる可能性があります。
また、
からもかけ離れ、残された人材のモチベーションが低下する可能性があります。
会社側から無条件に買い上げ要求ができるわけではない
退職時であれば、会社側から無条件に買い上げ要求ができると誤解されている人が多いですが、本来、有給休暇の買い上げは認められていません。
この場合あくまでも
という考えです。しかし、「退職時の有給休暇の買い上げは認めない」との規定は労働基準法違反となり無効です。
規定作成の上では、業務の引継ぎに関する就業規則において
「退職届は2週間以上前に提出すること」
「退職時において、十分な引継ぎを行う」等
の記載をするなどの防御策をとるしかないでしょう。
会社が有給消化を拒否することは違法
会社側には、業務上の都合などで有給取得の時季(時期)の変更を求める権利は認められているが、退職日までに有給消化をできないような状態にすることは違法です。
従業員は労働基準監督署に無料で相談ができ、労働基準法違反が認められた場合、会社への指導や是正勧告が行われます。
話し合いの上で、退職日や有休取得の調整をお願いする
退職前に残っている有給休暇を一括取得申請された場合、会社としてはそれを与えなければなりません。
まずは当該社員との話し合いをする以外に方法はないかと思います。
退職日の調整や有休取得時期についてお願いをすることが先決です。
また、このような事態にならないためにも、日頃から、従業員に有給休暇を取得させてリスクを回避する努力をすること、部下の業務を把握しておくことも必要かと思われます。
人材マネジメント上のポイント
退職のアラートに対して、いかに迅速に気づくことができるかどうかが重要になります。
手法は様々ありますが、人事制度との関連性においては、
また、評価等とは別に、1ON1やメンター制度等の実施により、社内外の問題や心配事の把握、それに対する対応等のPDCAサイクルの展開なども手段としてあります。
組織マネジメントとしては、業務・会社に対して、積極的に取り組むような環境づくりも必要になってきます。
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