遅刻を繰り返す社員への対処法:成果を上げていれば遅刻は許される?
最終更新日:2024.10.24
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頻繁に遅刻し、直す態度のない社員
当社の始業時間は朝8時からであるが、月に2~3回平均で遅刻する社員がいます。
担当の上司が注意しているのですが、「成果を上げているからいいではないか」「通勤時間が1時間かかる社員がいるのに8時始業はおかしい」などといって、一向に直す気配がありません。
どのような対応ができるでしょうか。
雇用契約の義務違反として処罰が可能
遅刻の問題に関しては、遅刻という行為が決められた業務時間に勤務するという雇用契約上の義務違反となりますし、職場の風紀を著しく乱す行為ともなりますが、遅刻理由や状況酌量の余地がある場合は、一概に処罰できない可能性もあります。
しかし成果を上げることや通勤時間と遅刻は別の議論です。
そのため、厳格に処罰することができますが、単なる遅刻という事実をもってして解雇とするのは解雇権の濫用として無効とされるケースが多いようです。
就業規則に基づき、まずは始末書の提出から、改善の余地がない場合は、懲罰のレベルを上げていくことが望ましいと思われます。
さかえ経営では、遅刻に関するルール作りなど様々な就業規定の策定を法的な視点でサポートします。
解雇・懲戒、教育制度、労働時間のルールなど、どのようにしたら上手く運用できるか分からない。全て法律どおりに制度を構築すると業務が回らなくなってしまう。などお悩みのお持ちの企業の方、まずはお気軽にご相談ください。
遅刻の理由によっては許容されるが、故意の遅刻は懲罰対象に
遅刻にはさまざまな要因があるため、すべての遅刻をもって非常識とは断言できませんが、故意の遅刻については組織として何かしらの形で懲罰を与えないと、職場の風紀全体が乱れる可能性があります。
このような社員の行為を管理者が看過してしまうと、本人は「これくらいの遅刻ならいい」とまちがった解釈をし、さらに、その結果として周囲の社員は「遅刻してもいいんだ」「なぜ注意しないのか」と誤った認識や不満を持つようになり、有能な人材ほどその職場を早く去っていくことになります。
「遅刻3回で訓告」などルールを設ける
「遅刻3回で1回欠勤」などの取り扱いはできません。
この規定では、例えば5分の遅刻を3回した場合に丸一日分の給与が控除されることになるため、勤務時間に対する正当な賃金が支払われないことになります。
労働基準法では減給に関して1回の事案につき、減給の総額が平均賃金の1日の半額以下、また一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払い期における賃金の総額10分の1以内でなければならないと定められており、これを超えるような賃金控除は認められていません。
会社としては、遅刻3回で訓告などの記載が望ましいでしょう。
改善の余地がない場合は、処罰のレベルが上がるような記述が必要となります。
遅刻が許されないような雰囲気作りが大切
普段から遅刻をすることが許されないような職場の雰囲気作りが大切です。
また、遅刻する社員に対しては、必ずその理由を報告させ、今後どのような心がけをしていくのかを聞き取り、それを記録しておくことが必要です。
態度が反抗的な場合においても、このことは行ってください。
遅刻理由に情状酌量の余地がないと認められる場合には、就業規則の懲戒規定に則り、けん責程度の懲戒処分を行うことが必要です。
まずは始末書の提出を求めて、そのけん責の記録とともに保管しましょう。
それでも遅刻を繰り返す場合には、これも就業規則に則り出勤停止ないしは降格などのより厳しい処分を科すようにしましょう。
もちろんこれらの経緯も全て記録・保管しておきましょう。
人材マネジメント上のポイント
従業員の業務を日々、管理することが必要になります。
日報等による進捗の管理により、今どのくらいの作業・業務量があるかどうかを把握し、優先順位等も把握して、時間外の必要性等を従業員に一任するのではなく、管理者等も把握することができるような環境づくりも必要になってきます。
そのような業務把握を実現した次のステップとして、生産性向上に向けた取り組みや在宅勤務の導入・浸透等につなげていくことが望ましいと考えています。
いずれにしても、業務の量・内容の把握を第3者と共有することによる効果は非常に高く、特に管理者の動きが重要になってきます。
そのために、残業や深夜労働等を勝手に認めるのではなく、必要性等を踏まえて、判断していくことが必要になります。
さかえ経営では、遅刻に関するルール作りなど様々な就業規定の策定を法的な視点でサポートします。
解雇・懲戒、教育制度、労働時間のルールなど、どのようにしたら上手く運用できるか分からない。全て法律どおりに制度を構築すると業務が回らなくなってしまう。などお悩みのお持ちの企業の方、まずはお気軽にご相談ください。