社員が転勤命令を拒否!就業規則に規定されていれば拒否できない?
最終更新日:2024.10.24
目次
東京の業務が無くなり、仙台へ転勤が必要に
現在、東京に勤務している社員を、仙台の営業所に配転させようかと考えておりましたが、その社員が転勤を拒否していきました。
東京の営業所は廃止を検討しており、従事させる業務がありません。どのように対応すれば良いでしょうか。
就業規則に転勤に関する規定が明記されているかを確認
勤務地の変更に伴う異動に関しては、「自社の就業規則にどのように規定してあるか」がポイントになります。
具体的には就業規則に
という規定があれば、従業員はその規定に従わなければならず、異動を拒否することはできません。
したがって就業規則に基づいて、解雇等の措置を講ずることは可能です。しかしながら、順番としては、
です。
場合によっては給与等を下げることも可能です。それでも同意しなければ解雇等を行うことができます。
業務上必要な転勤命令であれば有効
転勤に関しての判例として有名なものに、東亜ペイント事件(最高裁、昭和61年7月14日判決)があります。
この判例は会社の転勤命令に対して
との判断を下したものです。
要するに、業務上必要な場合については、それが嫌がらせといった不当な動機や目的でなければ、従業員として甘受すべき程度のものである転勤命令は有効であるということです。
就業規則に「転勤・移動を拒む場合の処分」を入れる
就業規則に「会社は、業務上の必要により、従業員に異動を命じることがある。従業員は正当な理由がない場合を除き、これを拒むことができない」という規定があれば、会社に対して包括的な同意があったとみなされ、転勤を業務命令として行うことができます。
もし拒否するような従業員が現れたときは、「よほどの事情」がない限りは、何らかの懲戒処分が可能となります。
があります。これがなければ、解雇等の措置を講ずることが困難になります。転勤以外にも、人事異動や昇降格などの措置に対する記述も、就業規則に入れておくことが望ましいでしょう。
また、職種限定の場合においても、変更する可能性の旨を記載しておくことが望ましいと考えています。
従業員の家庭環境にも影響するため配慮が必要
人材の能力を適切に見極め、適材適所となる人員配置の実現のためには、経営者や会社側の意思を貫かなくてはなりません。
しかしながら、
します。若手の独身社員に転勤を命じるのと、共働きで病弱な両親と同居し、数人の小さな子供を養っている社員に命じるのとでは、同じ業務命令であったとしても、本人に与える影響には大きな差があります。
管理者はその状況の把握から始めた方がよいでしょう。そして、転勤等が必要になれば、当該社員に面談という形で、穏やかに進めることが望ましいです。
となるでしょう。
人材マネジメント上のポイント
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。
また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかをという本人の志向性も重要になってきます。
また、
になってきます。
それらを作成し、運用するには、従業員の動向・行動特性は勿論、家庭の事情や転勤の可否、会社に対するモチベーションを把握し、それをデータベース化することにより従業員の適材適所が可能になると考えています。