業績建て直しのための 人事制度等社内制度整備
2020.01.28
戦略から人材マネジメントの在り方を認識、施策の展開
当社は、長年業界のリーディングカンパニーでした。
業界の優位的な地位もあったため、長年安定した経営をしておりましたが、近年業界のビジネスモデル変更のため苦戦を強いられてしました。
しかし、社内には「どうしょうもない」という停滞感が蔓延し、離職者が増えてきています。
業績も低迷しているため、離職者が多いこと自体はそれほど問題視しておりませんが、優秀だと思っていた人材まで離職すると同時に、
昨今の人材採用難もあり、代替の人材も集まらない現状です。
何かしらの対策を打つ必要がありますが、業績が安定したためこれまで人材マネジメントにおいてはあまり注目もしておらず、
何をどのようにアプローチすれば良いのか分からない現状でした。
1.パートナーの選定
人材マネジメントの要は人事制度であると考え、まずは人事制度を構築するコンサルティング会社を探しました。
5社程度に絞り込みましたが、シンプルな人事制度の構築、複雑な人事制度の構築、システム導入など、会社ごとに特色がありました。
さかえ経営(弊社)は、人事制度の実績はありましたが、それ以上に、現行の問題は何か、何故停滞しているか、
どのような方向性を目指すのかという点にこだわりがあり、そもそも「何のために人事制度を導入するのか」という点も非常に明確になりました。
2.主要問題の把握
最初に、人事制度の導入、見直しにあたり、現状の当社の問題課題を調査しました。
対象領域は、現行の人事制度は勿論、当社の人材マネジメント全般、さらには現在の経営計画や今後のビジネスモデルまで、多岐に至りました。
特に、現状分析の中で発見したことが、将来のビジネスモデルの展望が見えていないことに気づかされました。
どのような人材にしたいのか、将来の展望がみえていないことに気づきました。
そのため、人材ポートフォリオを作成することにより、現状と将来のビジネスモデルから推測する人材のシフトのイメージを明確にしました。
また、現行の人材構成として、管理者が全体の30%と非常に多いが、実際にマネジメントしている人材はほとんどおらず、
一方、開発等の専門職も一定人数いますが、実際には経営陣のみが行っている現状がありました。
しかし、社内の雰囲気は良い意味で家族的であり、非常に良い印象があります。
そのため、ドラスティックな変革が望ましくないと考えていましたが、人材のモデル化と社内風土は同時に進めていくことが必要であるとも感じました。
3.等級制度(役職体系)の構築
現状分析時に人事制度において要は等級制度であると認識していたため、等級制度構築に時間をかけました。
等級における視点は、権限・予算、執行責任等のマネジメントの役割と会社に対する貢献度合の2軸を設定しました。
そして、それらの定義ですが、単に形式的なものだという認識でしたが、先述の人材ポートフォリオをベースに非常にロジカルに、
そして当社の現状と「やりたいこと」を的確に表現するばかりか、得てして「言葉遊び」になりがちですが、
等級の階層構造もきちんと整理され、経営に対する説明は勿論、
実際の従業員に対する当てはめもスムーズにできるように構築しました。
4.その他の制度構築と運用への展開
等級制度構築後、それをベースに評価制度(年2回)、さらには報酬制度を構築しました。
報酬制度は、役割・ポジションを重視したため、等級によってはこれまでの水準を大きく上回る人も出ました。
一方で、下回る人についても、その理由を丁寧に説明すると同時に、時間外手当の適切な支給や福利厚生制度の充実を図ることにより、
不満を最小限に抑え、組織内の風土の維持・向上に注力しました。
また、評価制度やキャリアパスの運用については、総務人事部と経営企画部が協力して、各担当部が独自で運用できるように研修をはじめ、
面談システムや業務運営の在り方まで、落とし込むように展開していきました。
さらに、そこからキャリアパスの展開も容易に実現することができ、どのような施策を講じると人材が成長するのか、
そして、日々の業務の中で、どのようにするのかも明確にしました。
また、制度の主旨や内容等も単に説明会だけでなく、事例やメゾットをベースに伝えていきました。
また、評価軸に「仕事の成果と品質を評価」することで、生産性が向上し残業が実態として約3割減少し、
その結果、導入1年目で経常利益が倍増しました。
また、優秀な人材が中途採用できるようになり、人的資源が強化されました。