人材マネジメントの データ分析
従業員の成長促進と人材確保に向けてのアプローチ
当社はここ10年に従業員数が倍近くになりました。新卒採用した人材も定着化しつつ傾向にあります。
しかし、一方で、管理者は中途入社の人材が多く、価値観の違いは離職や従業員の成長を阻害している現状もありました。
クレドや経営理念の浸透を試みていますが、現状はあまり変わりませんでした。
今後、在宅勤務や就労の多様化も視野に入れたいと考えていますが、
組織としての人材マネジメントが確立されていない現状の中、打ち手について迷いがありました。
これまで、「勘」に頼ってきた評価・配置等の人材マネジメントでしたが、タレントマネジメントシステム導入に伴い、
客観的なデータに基づき、適切な打ち手を検討したいと考え、データ分析に着手しました。
1.データの現状
従前の人事関連のデータについては、人事管理ソフト・給与計算ソフト、個別のエクエルの管理になっていました。
特に、退職理由との定性的なものについては、ある程度情報収集ができていましたが、定量化されておらず、情報の整理が必要になりました。
また、評価結果については絶対評価であるものの、管理者ごとの評価のバラツキがあるため、あまり重要視していないようでした。
ただ、まとまっていないものの、ありとあらゆるデータあるのが幸いでした。
2.データの整備
必要なデータレイアウトを確定させ、必要な情報を所在を確認、整理しました。
また、過去のデータの整備、統合については、さかえ経営が担当することになりました。
退職事由等の定性的な事柄については、各管理者に対してインタビューを行い、さかえ経営のモデルごとに事由を整理しました。
また、評価については、評価結果(評語)というよりも、昇給(昇格)金額の上り幅ごとに7段階のカテゴリ訳を行いました。
3.分析要素の因数分解
データの信用度合については問題があるものの本来の目的に沿って、必要項目の整理を行いました。
1) 退職リスクの予見
退職理由のカテゴリかと整理を行い、過去の傾向から将来の退職可能性を予測
2) 活躍人材の予見と育成
評価・配置状況、昇格・昇給状況の情報から、どの人材が今後活躍するのかということを予測
3) 現在の打ち手の妥当性の検証
上記2つの予測に基づいて、「何をどの様にアプローチ」すれば予測を回避できるかどうかを検証
4.予測の詳細分析
1) 退職リスクの予見に関しては、整理した退職事由の内容(カテゴリ化)と、昇給金額の状況・職種、年次等の関係を分析しました。
2) 活躍人材の定義を売上・利益、昇給金額の状況、労働時間等から定義すると同時に、評価の結果・異動の履歴、昇格スピード等から分析しました。
3) 上記2つの分析から退職を防ぐためには教育の充実とジョブローテーションの実施、活躍人材に対して処遇できるような人事制度の構築が必要であると判断しました。
5.施策の実施
退職者の防止に関して、教育の充実としては、次世代経営者育成プログラムの構築・実施を行い、
またジョブローテーションについては、プログラム参加者については意識的に、行うように各管理者に指示を出すと同時に、
一部においてジョブ評価を導入しました。
また、優秀な人材については、行動特性を分析し、その人材に近づくことができるように各教育体系を整備しました。
6.効果測定と分析精度の向上
制度構築・運用開始から、1年後にデータを集計し、施策の効果が上がっているかどうかを検証すると同時に、
データの仮説が正しいかどうかを検証を行いました。積み重ねたデータの精度を上げるために、分析要素の因数分解を再度行うと同時に、
施策が適切であったかどうかを、従業員満足度調査等から行い、効果検証を行いました。
その結果を受け、プログラムの再検討と、ジョブ評価の内容の一部を見直しました。