内定辞退に悩む企業へ!適切な対応とリスク管理の方法
最終更新日:2024.10.24
目次
内定者からの内定辞退は、常に認めなければならないもの?
新型コロナウイルス感染症の影響により、採用活動においてWEB面接のみを行い、採用内定を出しました。
しかし、内定者から会社の社風がわからないことに不安を覚えたとの理由で内定を辞退されました。
内定者からの内定辞退は常に認めなければならないのでしょうか。
労働者は、2週間の予告期間をおけば自由に内定辞退できる権利がある
労働者(採用内定者)からの労働契約の終了(内定辞退)については、
内定者に当該企業への入社を誓約させる(他社に対する就職活動を行わない)こともありますが、労働者に解約の自由があることに鑑みれば、この誓約には事実上の効果しかなく、誓約に反したからといって入社を強制させることはできません。
ただし、その
場合があります。
内定辞退者に賠償責任を問えるのは非常に例外的な場合のみ。立証は困難
損害賠償責任を問いうるのは、
も多いと考えられます。
また、損害として認められる範囲としても、新たな採用活動に要した費用程度に限られる可能性が高いと考えられます。
裁判例では、結論として否定していますが、内定辞退に基づく損害賠償請求の当否が争点になった例として、X社事件(東京地判平24・12・28労経速2175号3頁)が、また、
として、ケインズインターナショナル事件(東京地判平4・9・30労判616号10頁)があります。
企業側からは、安易に採用内定を取り消すことはできない
採用内定というのは、単なる労働契約締結前の交渉過程や労働契約の予約ではなく、企業が採用内定を出した時点で、内定者との間ですでに解約権の留保が付いた労働契約が成立していることになります。
したがって、
入社を誓約させる誓約書には効果はなく、企業側には入社を強制する法的手段はありません。任意の交渉による引き止めができるのみです。
内定者が辞退する可能性があることは、避けられないリスク
企業側としては、内定者が辞退する可能性があることは、避けられないリスクとして認識しておくべきです。
そのうえで、
特に、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での面接が困難になっているような場合には、内定者へのフォローは十分に行い、内定者側の不安を払拭するよう努めることが重要だと考えられます。
人材マネジメント上のポイント
責任感のある社員を育成することはひとつのテーマであるかと思います。
しかし、過度になりすぎると、他の人に対しても悪影響を与えてしまいます。
責任感を醸成しつつも、チームの一員としての職務・役割を定義し、特定の人材に業務が集中しないように心がけると当時に、1on1等の機会を積極的に持ち、各社員の心身の状況・業務負荷等を観察する必要があります。
また、別のアプローチとして、業務の効率化やカイゼンの意識付けを行うことを目的とした、ワークショップや研修、さらには目標設定等も想定されます。
があります。
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求めれます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかをという本人の志向性も重要になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが予定されている業務等を明確にすると同時に、その到達レベルを可視化していくことにより、その内容に沿った質問等をすることが可能になります。