試用期間中の社員の業務能率が低い…延長は可能?適切な対応法を解説
最終更新日:2024.10.24
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中途入社の社員の試用期間を延長したいが違法ですか?
中途採用で現在試用期間中の若手社員がいます。3か月の試用期間も2か月を経過し、誠実で明るく、仕事にも真面目に取り組んでいます。
しかし、業務能率が悪く、正社員としてはバランスが悪いので、ためらっています。試用期間を延長して様子を見ることはできますか?
試用期間延長自体は違法ではありませんが、条件がある
試用期間の延長は違法ではありません。
ただし、下記の条件に当てはまらない場合、問題となる恐れがあります。
①就業規則によって会社のルールとして規定されていない。
②労働条件通知書において労働者に通知されている。
③試用期間を延長する合理的な理由がある。
今回のケースでは①②は満たしており、③の合理的な理由に該当するかということとなります。
事例からは、本人の勤務態度には問題がなく、業務能率の悪さが正社員としての適格性に欠けると示されています。この業務能率が悪い原因が合理的な理由であるかどうかです。
例えば、仕事遂行能力が足らない、業務知識が足らないといった場合は、まず会社の訓練・指導が求められます。
試用期間を延長し、指導や訓練を行った記録や本人の成果物から判断し、会社が期待する適格性に達することができれば正社員本採用、未達であれば延長した試用期間の満了で契約終了=退職となる。
これは合理的な理由として認められます。
試用期間の延長で採用の意思があるとみなされるケースも
試用期間中の雇用契約は「解約権留保付労働契約」に該当します。
試用期間であっても正式な労働契約が締結されています。
しかし、
としています。
過去の判例では、
されるケースもあります。
適格性の判断をするにあたり、労働者に欠けている事由と使用者側の改善指導の内容・回数・期間とその結果が合理的に判断できることが必要です。
試用期間終了後に本採用を拒否できる。延長する意味を再度検討
試用期間中の雇用契約は「解約権留保付労働契約」に該当します。
試用期間であっても正式な労働契約が締結されています。しかし、
としています。過去の判例では、次のような事案があります。「会社は、
(大阪高昭和1970.07.10 労働民例集21巻4号1149頁/時報609号86頁・大阪読売新聞社事件)」
つまり、
ケースもあります。
適格性の判断をするにあたり、労働者に欠けている事由と使用者側の改善指導の内容・回数・期間とその結果が合理的に判断できることが必要です。
採用者にどのレベルまで達してほしいか明確にして人材育成を
にするとよいでしょう。
そして、そのスキルを身に付けるために、会社として何を提供するかを整理します。事業規模・職務内容・業務レベルに応じて、教育訓練を計画します。
「忙しく人手がたらないから人員を補充した」
「退職者の欠員補充のため」
「管理体制を強化するために管理者を募集した」
など採用理由はいろいろですが、採用した人にどのような仕事をどのレベルまでしてほしいのかが明確でないと、人は育ちません。
教育訓練計画を提示できなくても、試用期間内での到達目標を面談を通じて伝えるとよいでしょう。
会社が求める人材採用における2つのポイント
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求められます。
しかし、職務経歴書等から確認することが通常ですが、中には誇張表現等があり、的確に反映できない可能性があります。
そのため、身元調査は一番、近いと思われますが、難しい側面も多々あります。
解決の方向性としては、以下の2点かと思われます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけに働いているのかという本人の志向性も重要になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが予定されている業務等を明確にすると同時に、その到達レベルを可視化していくことにより、その内容に沿った質問等をすることが可能になります。