違法インターンシップを未然に防ぐ:インターンシップの学生と労働者の違い
最終更新日:2024.10.24
目次
インターンシップに参加する大学生に報酬は支給すべき?
当社では大学生向けのインターンシップを開催し、現場の業務を簡易的に体験してもらっています。
このインターンシプのケースでは、報酬は支給すべきと考えるべきでしょうか。
従業員と同じ仕事を行い、会社が利益を得ているなら、その学生には賃金が必要
インターンシップの学生が会社の指導下で従業員と同じ仕事を自分で行い、その結果会社が利益を得ているならば、その学生は「労働者」としてみなされ、賃金が必要となるかもしれません。
しかしながら、学生が単純なタスクを体験的に(例えば、出荷しない製品を作るなど)こなす程度であれば、「労働者」の枠には当てはまらず、報酬は必要ないと考えられます。
1.インターンシップとは
インターンシップとは、学生が実際の職場での訓練や職業体験を行うための制度です。
この制度は、主に夏休み等の長期休暇を活用して大学の公式カリキュラムに組み込まれたり、企業等が主導で実施し、学生が自由に参加するケース等もあります。(文科省・厚労省・経産省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」参照)
2.インターンシップの法的地位
「労働者」に該当する場合、賃金やその他の労働条件については労働基準法や最低賃金法等が適用され、また実習中の事故については労災保険法が適用されると認識する必要があります(平成9・9・18基発636号等)。
「労働者」として扱われる学生への賃金未払いは違法行為
インターンシップの名の下に学生を雇用し、その実態が「労働者」として扱われている場合、労働法令に準拠した取り扱いが求められます。
例えば、出勤・退勤の時間を企業が規定し、正社員同様に実際の生産作業に従事させている場合や、その成果が企業によって享受されているような状況では、その実情が「労働者」とみなされる可能性が高まります。
このような状況で該当の学生に対して賃金を支払っていない、または最賃法に達しない金額しか支払われていなければ、それは違法行為になります。
インターンシップの位置付けを明確に設計
インターンシップの具体的な設定は各企業が自由に決定でき、労働法規を適用するもとで、給与を払い、実際の仕事体験を提供することはもちろん可能です。
初めに、各企業は自社のインターンシップをどのように位置付けるのかを明確に設計することが重要です。
そして、
従業員とインターンシップの間には明確な区別が必要
違法なインターンシップの疑念を回避するためには、従業員とインターンシップ生の間に、業務の内容、制約される時間、目標設定の有無、単独での業務遂行の有無などを明確に区別することが必要です。
また、
が生じます。
つまり、
人材マネジメント上のポイント
インターンシップの実施は企業にとって、
①社員教育と職場の活気づけ
②職業間の適合不足の軽減
③会社のブランド強化と公的評価の向上
④産学協働の恩恵
といった利点をもたらします。
インターンシップと社員の間に明瞭な差別化を施し、不適切なインターンシップの問題を避けつつ、これらの利点を最大限に活用することが期待されます。