病欠の社員を有給休暇として処理できる?給料の支払いや従業員への対応について詳しく解説
最終更新日:2024.10.24
目次
そもそも「病欠」とは何か?
病欠とは、病気が原因で仕事や学校に出席できない状況を指します。職場では「病気欠勤」とも称され、勤務予定日に病気で休むことを意味し、「病欠」と略されます。
また、病欠時の給与には特別な考慮が必要です。企業は従業員が病気で休んだ場合の給与支払いに関して、法的な規定や社内の規則に基づいた対応が求められます。この点を理解し、適切な対応をとることが重要です。
欠勤との違いについて
通常、病気やケガによる欠勤は「傷病欠勤」として扱われますが、欠勤は自己都合によるものとみなされます。
また傷病欠勤の際、給与が支払われない4日目からは、健康保険組合から傷病手当金を受け取ることが可能です。この制度は、病気で休む従業員が経済的なサポートを受けられるようにするためのものです。
下記記事では「欠勤」についてより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:『欠勤とは何か?給料は支払う?休業や休職との違いを解説』
病欠と給料の関係について
基本的に、病気で休んだ場合、その日の給料は減額される可能性が高いです。これは、労働者が働けなかった日に対する賃金を支払う法的義務が企業側にはないためです。例えば、風邪を理由に1日休んだ場合、その日の給料は支払われないのが一般的です。
有給休暇を取得するためには、半年以上の継続勤務と全労働日の80%以上の出勤が条件となります。
それでも、年間の有給休暇を既に使用してしまっている場合や、他の条件によっては有給を利用できないこともあります。従って、病欠に際しての給料の扱いは、個々の勤務状況や既に取得した有給休暇の日数により異なるため、各自での確認が重要です。このように、病欠時の給料処理は状況に応じて変わるため、事前に理解しておくことが望ましいです。
参考記事:『働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省』
「病欠でも有給休暇を使いたくない」は通る?
病気で休む際、有給休暇を使うことに躊躇する人もいます。
たとえば、有給残数を大切な用事のために取っておきたい場合、賃金の差し引きを受け入れることで、有給休暇を温存することが可能です。このような判断は、会社との相談が必要です。
理由としては、病欠による賃金の計算が手間となる場合や、欠勤記録が人事評価に影響する可能性があるからです。急な休みは会社にとって負担となるため、有給休暇を使うことが望ましいとされていますが、特別な事情がある場合は会社と協議することが大切です。
病欠の従業員に向けた「会社の対応」について
従業員が病気で休む際には、会社が取るべき適切な対応があります。これは従業員との信頼関係を維持し、不満や不信感を避けるために重要です。まず、会社は病欠の初動として、以下の三つのステップを踏むべきです。
①:お見舞いの連絡を行う
従業員が病気で休む際、まずは経営陣(労務など)からの直接的なお見舞いの連絡は重要です。
従業員としてもできれば休みたくないところでしょうから、お見舞いの連絡は、会社から従業員への支援と理解として、特に体調が優れない時期には大きな心の支えとなるでしょう。
経営者からの温かい言葉や関心は、従業員が困難な時期を乗り越える助けとなり、組織全体の結束を深めることにもつながります。
②:休みの区分を明確にする
従業員が取得できる休暇には、病欠をはじめ、有給休暇や欠勤、休職などさまざまあります。
これらの休暇の種類を会社として明確に区別し、従業員一人ひとりが自身の休暇状態を正確に認識できるようにすることが大切です。そうすることで、職場内の不信感や混乱を防ぎ、円滑なコミュニケーションと運営を実現できます。
「病欠時の連絡方法」はルール化すべき!
病欠時の連絡方法には、主に電話、メール、社内のチャットなどがあります。連絡の方法は企業によっても異りますが、従業員が咄嗟の休みでも困惑しないよう、欠勤時の連絡方法についてはルール化しておくようにしましょう。
病欠の連絡はできるだけ早く、症状や不在期間、必要な業務の引き継ぎに関する情報を含めて行うべきです。また、復帰に向けた準備やフォローアップも重要であり、必要に応じて診断書の提出や、休暇後の業務のキャッチアップについての計画を立てることが望ましいです。
このような引き継ぎ、業務連絡を円滑に行い、業務に支障を出さないためにも、「メールでOK」or「労務への連絡がマスト」などのルール化を進めるようにしましょう。
病状ごとに「社員がとるべき病欠連絡」の事例
先に「病欠時の連絡をルール化しましょう」とお話をしましたが、病状によっても連絡のルールは調整が必要でしょう。
ここからは病状ごとに社員がとるべき病欠連絡の事例を詳しく紹介していきます。
例1:インフルエンザによる病欠
従業員がインフルエンザなどで体調不良になり、医師から休養を勧められた場合、その従業員は責任を持って早めに上司に連絡し、状況を説明することが重要です。
特にインフルエンザの場合は数日間の休養を必要とするケースがほとんどですので、業務の引き継ぎに関する情報も準備しておくべきです。このように適切に対応することで、チームの業務に支障をきたすことなく、安心して休養に専念できます。会社としても、従業員の健康管理をサポートし、働きやすい環境を提供することが望ましいです。
例2:急性胃腸炎による病欠
急性胃腸炎により従業員が突然体調を崩した場合、事前に上司に状況を報告し、次の日の業務に支障が出ないように事前に連絡を取ることが重要です。
この連絡には、対応が必要な業務内容と、その業務を引き継げる可能性のある同僚の提案を含めることで、スムーズな業務の継続が可能になります。会社としては、従業員の健康を第一に考え、このような状況に柔軟に対応することが望ましいです。
例3:メンタルヘルスの問題による病欠
従業員がストレスや不眠、その他精神的なメンタルヘルスが原因で病欠する場合、会社としても適切なサポートが必要です。
従業員が病欠を上司に状況を報告するのはもちろん、心理療法のために数日間の休暇を取得する場合、業務の引き継ぎを円滑に行うために上司と協力し、チームメンバーに必要な情報を共有することをルール化しておくべきでしょう。
社員の病欠に関するよくある質問
Q: 社員が病気で休む場合、事前にどのような手続きが必要ですか?
A: 社員が病気で休む場合、可能な限り事前に連絡をし、医師の診断書が必要になる場合もあります。休む期間によっては、会社の規定に従って手続きを行う必要があります。
Q: 病欠には有給休暇を使用できますか?
A: はい、病欠の際には有給休暇を使用することができます。有給休暇の利用規定は会社によって異なるため、事前に確認してください。
Q: 病欠期間中の給与はどのようになりますか?
A: 病欠期間中の給与支払いは、会社の規定や労働基準法によって異なります。有給休暇を使用する場合は通常の給与が支払われますが、そうでない場合は無給になるケースが一般的です。
Q: 社員が病欠を繰り返す場合、会社はどのように対応すべきですか?
A: 社員が病欠を繰り返す場合は、その原因を把握し、必要に応じて職場の環境改善や健康管理のサポートを検討することが重要です。また、労働基準監督署や専門家のアドバイスを求めることも一つの手段です。
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