給与計算アウトソーシングのメリット・料金相場|2割の企業は外注している
最終更新日:2024.10.24
目次
給与計算代行・アウトソーシングとは?
給与計算代行アウトソーシングは、企業が給与計算や年末調整などの業務を外部の専門業者に委託するサービスを指します。
このサービスでは、従業員の雇用形態に応じた給与や通勤費の計算だけでなく、個人ごとに異なる健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料などの控除額も算出してくれます。
さらに、有給休暇の残日数や残業時間の管理までを請け負うサービスもあり、企業は給与計算ミスを防げる、社内のリソースを確保できるなどのメリットがあります。
給与計算代行・アウトソーシングの利用率は約2割
給与計算代行・アウトソーシングは、もともとアメリカで専門性の高い業務を外部の専門家に委託する考え方から発展したサービスですが、日本でも1990年代のバブル崩壊後に注目が集まるようになりました。企業のグローバル化と激しい競争環境の中で、コストダウンが求められるようになったためです。2000年代に入ると、本業に専念し付随業務は外注するというビジネスモデルが一般的となり、多くの企業が給与計算代行・アウトソーシングを成長戦略の重要な位置づけとするようになりました。
2014年の矢野研究所の報告書によると、
北米では約20%、中南米では約60%の企業が利用しているそうです。
給与計算代行・アウトソーシングは何をしてくれる?
給与計算には、毎月の給与の計算・支払いから年末調整や住民税の計算まで、1年を通して様々な業務があります。
アウトソーシング・サービスで対応できる範囲について、業務ごとに説明します。
給与計算代行
給与計算代行では、毎月の給与計算に必要なタイムカードの集計、入退社や人事異動などの情報変更、残業代や社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税の計算などを外部業者に委託します。
明細の作成、印刷、封入、郵送などの関連業務も含まれる場合があります。
振込・納税代行
給与計算の結果に基づく給与振込データの作成や振込、税金の納付を代行するサービスです。
多くの場合、給与計算・賞与計算代行に追加する形で依頼されます。
年末調整代行
業務が煩雑で繁忙期が毎年年末から年初に限られる年末調整を外部に委託するサービスです。
通常期に給与計算を社内で行っている場合でも、期間限定で年末調整のみ依頼するケースもあります。
控除申告書類の送付や内容チェック、従業員からの問い合わせ対応、各種必要書類の作成と提出代行などが含まれることが多いようです。
住民税更新代行
住民税の更新は毎年5月から6月に発生し、繁忙期が限られています。
さらに、市区町村との紙媒体のやり取りが多く、インターネット対応が遅れている自治体も多いため、時間的コストがかかります。
そのため、給与計算は社内で行っていても、住民税更新だけはアウトソーシングする企業も多くあります。
企業によって、給与計算代行・アウトソーシングで委託する範囲は考え方やコスト意識により様々です。
場合によっては、勤怠管理や社会保険・労働保険の手続きまでトータルで外注する場合もあります。
給与計算代行・アウトソーシングの料金相場
給与計算は企業にとって事務負担が大きい業務ですが、アウトソーシング会社は業務の標準化とシステム化により効率的に処理できます。
ここでは、給与計算代行・アウトソーシングの一般的な料金相場について見ていきましょう。
①:給与計算代行のみの場合
給与計算だけをアウトソーシングする場合、
給与計算は年間を通して定型的な業務なので、アウトソーシング会社にとってもコストを抑えられるため、比較的安価な料金設定となっています。
②:年末調整代行、住民税更新代行も外注する場合
年末調整や住民税更新は企業の事務負担が大きいため、これらの業務もアウトソーシングしたいと考える企業は少なくありません。
年末調整と住民税更新も含めて外注する場合、従業員数50人程度の企業で月額10万円~20万円程度が相場となります。
さらに勤怠管理や社会保険関連業務まで委託すると、料金はそれ以上になります。
給与計算アウトソーシングサービスの1人たりのおおよその費用相場
- 給与計算のみ 約400円~1,500円/人・月
- 明細作成・振込 約0円~500円/人・月
- 年末調整 約1,000円~5,000円/人
- 住民税更新 約300円~2,000円/人
給与計算代行・アウトソーシングのメリット
トータルコストの削減
給与計算には担当者の人件費・教育コストとシステム・ソフトウェアの利用費・開発費がかかります。
特に法改正への対応でソフトの更新料やライセンス再購入費、業務フロー変更のコストが発生します。
アウトソーシングにより、これらの人材面とシステム面の両方のコストを抑制できます。
法令改正の情報収集と対応
税制や社会保障関連の法令は毎年のように改正されるため、担当者は常に最新情報を把握し社内で対応する必要があります。
アウトソーシングすれば専門家に任せられるので、社員の負担が軽減されます。
コアな事業への集中
給与計算は専門性が求められる一方で定型的な業務が中心です。
この定型業務をアウトソースすることで、利益を生み出す創造的業務に人的・金銭的資源を集中できます。
季節的業務の人員確保がスムーズ
年末調整や賞与支給時期など、給与計算業務は季節的な繁忙期があります。
これらの時期に臨時スタッフを雇用するのは容易ではありませんが、アウトソーシングなら柔軟に対応できます。
残業管理をするように
アウトソーシングのために勤怠情報を適切に収集することで、勤務時間や残業時間が可視化されます。
その結果、社内で生産性を見直すきっかけになるかもしれません。
給与計算代行・アウトソーシングのデメリット
ある程度の業務負担は社内に残る
年末調整や住民税更新まで含めてアウトソーシングしても、勤怠管理や従業員情報の更新など一部の業務は社内に残ります。
アウトソース先への提出期限が早まることで、かえって忙しくなる可能性もあります。
自社にノウハウが蓄積されない
アウトソーシングすると、給与計算の担当者を別の業務に配置換えするため、それまでの社内ノウハウが残りにくくなります。
アウトソース先に何かあった場合、社内で対応できなくなるリスクがあります。
データ漏えいのリスク
アウトソース先によっては、実作業を契約社員やアルバイトが行ったり、別会社に再委託したりするケースもあります。
大切な個人情報を扱うため、情報管理体制をしっかり確認しておく必要があります。
給与計算代行・アウトソーシングの3つのタイプ・選び方
自社の企業規模に合っているか
アウトソーシングサービスには中小企業向けと大企業向けがあります。
大企業向けは雇用形態の多様性への対応力、従業員問い合わせ対応、担当者の複数体制などがポイントです。
中小企業向けはスポット依頼への対応、労務相談のしやすさ、周辺業務へのアドバイスなどを重視します。
同業他社の導入事例を参考にするのもよいでしょう。
アウトソーシングできる範囲が自社にあっているか
基本料金に含まれる業務範囲はサービスによって異なります。
給与計算のみか、明細作成・振込まで対応するか、年末調整や社会保険手続きまでカバーするかなど、自社の要望を事前に整理しておきましょう。
従業員の対応窓口が設置されているか
従業員から給与関連の質問やトラブル対応の問い合わせ窓口が、アウトソース先にあると便利です。
社内にしか窓口がないと、想定外の業務が発生してアウトソーシングのメリットが薄れてしまいます。
給与計算代行・アウトソーシングをする際のポイント
専門性
給与計算は正確さが何より重要です。
どの程度の専門知識を持ち、どの規模の企業の実績があるかを確認しましょう。
対応スピードと柔軟性
給与振込や納税の〆切を踏まえ、アウトソース先の業務スピードと柔軟性を事前に確認しておきます。
自社でいつまでに何をすればよいかスケジュール感を把握しておくことが大切です。
情報管理の安全性
従業員の個人情報を守るため、アウトソース先がどのように情報を取り扱うかチェックが必要不可欠です。
料金
最後に、上記3つのポイントと照らし合わせて、料金に見合ったサービス内容かどうかを必ず確認してください。
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