社員が取引先の女性社員へセクハラをした場合、どう対処すべき?
最終更新日:2024.10.24
目次
当社の男性社員から取引先の女性社員へのセクハラの疑いが
取引先の担当者から当社の男性社員が取引先の女性社員に対して、しつこく食事に誘ったりしており、クレームが出ました。
どのように対応すればよいでしょうか。
別の会社の社員であってもセクハラに該当する
同じ会社の
になるという裁判例があります。(金沢セクシャルハラスメント事件、名古屋高金沢支判平8・10・30労判707号37頁)
これは同じ会社ですが、
しているので、仮に取引先の社員であっても、はっきりと断ったにも関わらず、執拗に何度も食事等に誘った場合はセクハラに該当する可能性があります。
また、これは従業員個人の責任にもなりますが、会社も被害者から使用者責任(民法715条)ないし労働契約上の職場環境配慮義務違反があったとして債務不履行責任(民法第415条)を追及される可能性があります。
コーポレートガバナンスが疑われ、取引停止の可能性も
対取引先の企業においては、コーポレートガバナンスが疑われるばかりでなく、最悪の場合、取引停止になってしまう可能性があります。
また、被害者から会社に対して、職場環境配慮義務違反として、訴えられる可能性があります。
また、
もあります。
があります。(X社事件・東京地裁平22・12・27労経速2097号3頁)
就業規則でセクハラに関するガイドラインを周知する
セクハラについて、ガイドライン等にそって具体的な内容を記載し、周知しておく必要があります。
規程化も重要ですが、
になります。
また、事業主の配慮義務として、以下が挙げられます。
1)事業主の方針の明確化とその周知・啓発
社内報などの広報やパンフレットによってセクハラの禁止を訴えたり、就業規則などにセクハラ禁止規定を設けたり、あるいは研修等が挙げられます。
2)相談・苦情への対応
相談・苦情を適切に受け付けて処理できるマニュアルや制度を整備して、対応窓口を設けることや、人事部門と連携して円滑な対応を図ることなどが挙げられます。
3)セクハラが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応
相談担当者や人事部門、専門の委員会などによる事実確認を行ったり、配置転換などの措置や就業規則に基づく措置を講じることが挙げられます。
パワハラ同様、まずは「事実確認」が重要
パワハラと同様に、
があります。
間違っても、その前に当該社員を非難してはいけません。
そして事実認定が虚偽であれば、その次に懲戒制度の対象になります。
かと考えられます。
しかし
ということも考えられます。さらには犯罪行為として成立するのであれば、就業規則に基づき懲戒解雇も妥当な処分になり得ます。
人材マネジメント上のポイント
セクハラという概念が登場してから20数年が経過しますが、現在の日本企業においては、概念は浸透しつつあるもの、その対応という視点ではまだまだ、十分ではないと思われます。
理由としては、
しかし、セクハラというのは、法律的に認めらていないものであり、それに対して何も対応しない、もしくは被害者が責められることは絶対にあってはならないことです。
戦力ダウンを恐れるのであれば、そのような事態にならないために、セクハラによる配置転換の事例の共有や相談担当者の外部化、さらにはそのようなことが起こらないように、研修等を強化していくことが必要ではないでしょうか。