セクハラの認識がバラバラ?事実無根の可能性も考慮した会社の対応
最終更新日:2024.10.24
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セクハラの申告を受けたが、事実でない可能性がある
部下の社員から、セクハラを受けている旨の申告がありますが、話を聞いてみるととてもセクハラとは思えず、事実無根である可能性が高いです。
どのように対応すればよいでしょうか。
上司だけで処理せず、担当部署に報告し処理を委ねる
セクハラの申告があった以上、
であり、上司は、必ず担当部署にセクハラ申告があった旨を報告し、処理を委ねる必要があります。
また会社側は、
です。
被害者・加害者の話を十分に確認し、その周辺等に事実確認をすることが必要です。
事実収集は会社でも良いかもしれませんが、
かもしれません。万一、セクハラ行為が事実であったとすると、申告を放置したことについて会社の責任が過重される可能性があります。
事実認定が難しい場合は、弁護士など専門家に依頼する
セクハラ行為の存否が争われた例の中には、
名古屋セクハラ事件(名古屋地判平16・4・27労判873号18頁)、セクハラ行為の存否が不明であるとしたA社(総合警備保障業)事件(神戸地尼崎支判平17・9・22労判906号25頁)、不法行為に該当するようなセクハラ行為は認められないとした社団法人K事件(神戸地判平17・9・28労判915号170頁)があります。
いずれにしても、当事者へのヒアリングや事実認定に困難をきたすケースもあることから、そのような場合は、慎重を期すべく、弁護士などの外部の専門家に事実調査と事実認定を依頼した方がよいでしょう。
セクハラ行為の事実認定は困難なケースも多い
セクハラ行為は、密室や二人きりの場所で行われることも多く、事実認定には苦労することも多いところです。
と思われます。
特に申告が虚偽であることを積極的に認定できる事案は、申告者がそのことを自白した場合でもない限り、実際には少ないと思われます。
そこで、
をできる限り収集するようにしてください。それに照らして、
必要があります。
慎重な事実確認の上、虚偽であった場合は懲戒処分を検討
パワハラと同様に、事実確認を丁寧に行う必要があります。
間違っても、その前に当該社員を非難してはいけません。
ことになります。また、虚偽の申告がなされるということ自体、加害者とされた者と申告者との間の人間関係に何らかの問題がある可能性がありますから、その意味で、
になる場合があるでしょう。
セクハラ問題を起こさないための、人材マネジメントのポイント
セクハラという概念が登場してから20数年が経過しますが、現在の日本企業においては、概念は浸透しつつあるもの、その対応という視点ではまだまだ、十分ではないと思われます。
ハラスメント研修も必要になります。しかし、それだけでは不十分で、単なる腹いせ等の場合もあります。
それを防ぐには、組織風土の改善に尽きます。しかし、組織風土悪化の問題は、一長一短には可視化できない問題となります。苦情処理機関等の通り一遍のメンタル的な対応では不十分な場合もあります。
人材マネジメント上の対応としては、業務外におけるトラブルに対して、その変化にいち早く気付くということが重要になります。それには、従業員の動向を日々、チェックすることが重要になります。
それには、月並みかもしれませんが、
です。例えば、業務の進捗、周りとのコミュニケーション状況などが挙げられます。また、1on1等を通じて、プライベートの悩み等もキャッチアップすることも重要になるかと思います。