人事考課結果の公開請求はどこまで応じる?評価プロセスや評価項目を開示するべき?
最終更新日:2024.10.24
目次
成果型の評価賃金制度の開示請求。会社はどのように対応すべき?
成果型の評価賃金制度を導入していますが、内容に不満があり、開示するように請求されました。どのような対応が必要でしょうか。
評価プロセスやその評価項目程度の開示が望ましい
近年、企業の人事政策が終身雇用・年功序列型から仕事の成果や仕事に発揮される能力を重視して賃金額を決定する成果主義型に大きくかわりつつありますが、成果主義型賃金制度への変更は仕事の成果や能力次第では賃金が減額される可能性があるので不利益変更にあたります。
したがって、就業規則の変更により
です(労契法10条)。
人事考課結果の開示は、制度の公平さを担保する重要な要素
人事考課制度が適正であれば、基本的な人事考課(具体的な運用)は会社の裁量に委ねられています。
しかしながら、
となります。
開示できないということは、開示できない理由があるためであり、昨今の風潮として、「何か恣意的な」ことがあるなどと疑われる機会が多いためです。
恣意的なものがあるという認識が続くと、モチベーションが低下する可能性があります。
でしょう。
あらかじめ「成果主義型賃金制度」のルールを周知徹底しよう
成果主義型賃金制度の際にどの程度まで評価の納得性や正確性を高める手続的要素を盛り込むかは、一概には言えないところですが、少なくとも、
①評価のプロセス(例えば、第一次評価者および第二次評価者により評価を行っている点など)
および
②評価項目(例えば、目標達成度、仕事の量・質・判断力・指導力・責任感・協調性・積極性など)は具体的に開示すべきでしょう。
このような評価においてのルールやその内容について開示を行い、その運用や周知徹底を行う必要があります。そうでないと、恣意性が入る等の問題が発生する恐れがあります。
ただし、開示すべき内容は「評価プロセスと評価項目」にとどめる
評価プロセスや評価項目については、積極的に開示すべきですが、他方、具体的な評価内容については原則として、開示すべきではない場合もあります。
これは、具体的な評価内容を開示した場合、評価者と社員との間で軋轢が生じ、また、社員からの反発を恐れて、評価者の日々の指導等が困難になったり、社員に対する評価を適切に行わなくなったりするおそれがあるからです。
当該事例でも、
①評価のプロセス
および
②評価項目の開示にとどめ、
でしょう。
人材マネジメント上のポイント
昨今、人材マネジメントは大きく変化してきています。いわゆる、
になってきました。
しかし、人の考え方や価値観等の変化は時間を要します。ハラスメント教育は必要ですが、それだけでは解決は難しいです。管理者はその組織の人・物・金・情報を活用し、組織として最適化、結果を出すというミッションを背負った役割だと考えています。
です。例えば、今いる優秀な管理者をベースにその要素を整理した方が良いかと思います。さらに、業務等の必要性・全体の内容を会社としてある程度は把握する仕組みの構築も必要になります。