採用時に身元調査をするべきか?前職を調査しても良い?企業が遵守すべき法律
最終更新日:2024.10.24
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入社後に経歴等とは程遠い人物であることが発覚する
当社は中途採用が9割以上ですが、最近採用活動が上手くいっていません。
実際入社してみる、履歴・経歴等とは程遠い方が多く見受けられます。
今後、採用時に身元調査をするように、社長から命じられましたが、可能でしょうか。
学歴・職歴など業務に関係する事は調査しても良い
採用活動における身元調査を禁止する法律はありません。
しかしながら、厚生労働省は公正な採用選考を行うため採用選考時に配慮すべき事項として以下を挙げています。
・身元調査などの実施
・本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境
・宗教、支持政党、人生観
・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動、購買新聞
・雑誌・愛読書身
元調査という行為そのものが違法ではないとしても、その情報取得方法に違法性があれば、当然問題になります。
しかし、現実的には前職等に確認を行う程度にとどまるものと思われ、入社前における現実的な対応は難しいと考えられます。
ただし、肝炎等の履歴などは、業務以外という判断になります。企業は採用活動の事由があるので、一定の範囲内での調査は問題ないと思われます。
本人を通じて前職に「退職証明書」を発行してもらう
身元調査という行為そのものが違法ではないことから、前職への情報照会は可能です。
しかし、前職の会社が本人の承諾なしに情報を提供した場合、提供方法や情報の内容によっては、名誉棄損・プライバシー侵害・個人情報保護の点から非常に問題になる可能性もあるので、近年は多くの企業で情報提供を拒むケースが多くなっています。
そのため、前職の退職理由を確認する方法としては、
がよいでしょう。「退職証明書」は本人から請求する退職事由を明示し、会社側が退職した事を証明する書類となりますので、少なくとも解雇でないことは確認できるでしょう。
求める人物像を明確にし、社風にマッチするかどうかを確認する
企業には採用の自由があります。採用の自由とは、個人の思想信条の自由などと共に憲法で定められる企業の権利であって、法律その他別の制限が無い限り、かなり広い裁量を有しています。
まずは、企業が労働者の採否決定にあたり、採用時のミスマッチを起こさないように、求人の際の条件として、
「どういう人物を求めているのか」
「どういったスキルが必要なのか」
「どのような社風なのか」など
を明確に定義しておくことが必要です。
しておくことも不可欠です。また、就業規則等における試用期間の設定も不可欠です。
採用のミスマッチが続く場合は、求人に問題がある可能性も
試用期間中は採用時想定された経歴等が異なると考えたとしても、
必要があると思われます。
しかしながら、そのような採用のミスマッチが続くようであれば、採用時の求人にも原因があると考えられますので、まずは採用時のミスマッチの原因を探ることが必要でしょう。
人材マネジメント上のポイント
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求めれます。
しかし、職務経歴書等から確認することが通常ですが、中には誇張表現等があり、的確に反映できない可能性があります。
そのため、身元調査は一番、近いと思われますが、難しい側面も多々あります。解決の方向性としては、以下の2点かと思われます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかという本人の志向性も重要になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが 予定されている業務等を明確にすると同時に、その到達レベルを可視化していくことにより、その内容に沿った質問等をすることが可能になります。