採用時に健康状態を確認することは許される?精神疾患の既往歴の確認は可能?
最終更新日:2024.10.24
目次
採用選考で健康状態や精神疾患の有無を確認してもいい?
採用選考にあたって、健康状態や精神疾患の有無を尋ねたり、検査を指示することは可能でしょうか。
一般的な健康状態・精神疾患の有無を尋ねるのは可能
健康診断の情報は個人のプライバシーにかかわる部分ですから、企業に採用の自由があるからと言って、無制約に行われるものではありません。
しかしながら、
であれば、一般的な健康状態・疾患の有無について尋ねるということは可能と解すべきです。
特に精神疾患については、昨今の
ものといえるでしょう。
職務内容に必要性がある場合のみ可能。調査には必ず本人の同意が必要
採用選考にあたって、個人に対し、過度な情報の要求はできないというのが通説ですが、それらの懸念がある場合には、業務上必要なことは求めることはできると思います。
しかし採用選考時にいわゆる「血液検査」等の健康診断を実施し、HIVや肝炎など、特定疾患の調査を行うことは差別に繋がる恐れがあり、実施する際には
「特段の事情」や
「職務内容との関連においての必要性」が客観的に主張できるかがポイント
になります。
これらの特定疾患の調査を行う上では、あくまで本人に同意を得て行うことが大前提です。
就業規則、募集要項に、応募者の適正を判断する上で健康診断が必要と明記を
企業には
はない」とされており、選考手続きにおける調査の自由を広く認めています。
しかし、採用の自由が全くの無制約かというとそうではなく、特に問題となるのが「プライバシー」権です。
会社側は、採用選考時の健康診断が応募者の適正と能力を判断する上で必要なものであることを確認し、就業規則や募集要項や説明会等を通じて、明記することが求められます。
応募者のプライバシーに配慮した質問なら違法性は少ない
健康状態・疾患の有無についての質問方法が、任意解答の形式で同意を得て行われる場合には、プライバシーにも一定程度配慮している訳ですから、違法とされる理由は乏しいでしょう。
そして、仮に、
と解されます。
一方で採用選考時に何も尋ねてない場合には、後から「虚偽である」と主張することが困難になりますので、後の内定取り消し、試用期間満了本採用拒否の有効性にも影響することになります。
採用時に求める人材を明確にし、書類と行動、質問から判断を
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求めれます。
しかし、職務経歴書等から確認することが通常ですが、中には誇張表現等があり、的確に反映できない可能性があります。
そのため、身元調査は一番、近いと思われますが、難しい側面も多々あります。解決の方向性としては、以下の2点かと思われます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかという本人の志向性も重要になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが予定されている業務等を明確にすると同時に、その到達レベルを可視化していくことにより、その内容に沿った質問等をすることが可能になります。