募集要項と実際の労働条件が違う!求人票と給料が違うなどクレームへの企業の対応
最終更新日:2024.10.24
目次
スキル不足のため募集要項の記載より低い基本給にした
募集要項には、基本給30万円と記載されていましたが、入社スキルが少し足りないため、当社の等級制度に基づいて基本給を27万円としました。問題あるでしょうか。
募集した後で条件を変更せざるを得ないケース
職業安定法5条の3及び同法施行規則4条の2が、
と規定しています。
また同法42条は、労働条件の明示について誤解を生じさせないように、平易な表現を用いる等的確な表示に努めなければならないとも規定しています。
実際には
になりますが、募集した後になって、労働条件を変更せざるを得なくなったケースについては、それを規制している規定はありません。しかし事案によっては信義則違反となり、損害賠償責任を負う場合がありますので注意が必要です。
求人票に「断定的な記載」がされているかがポイント
裁判例の傾向を整理すると、まず求人票や募集広告に労働条件を確定的・断定的には記載していなかったようなケース(給与額に「見込み」と記載していた等)では、
一方、断定的に記載していたようなケース(「正社員」と記載していた等)は、求職者は求人票や募集広告の内容が雇用契約の内容になると考えて申込をすることを重視して、当事者間において別段の合意をするなどの特段の事情がない限り、求人票や募集広告記載の募集条件がそのまま雇用契約の内容にあたると判断されています。
労働条件通知書で改めて条件を確認する
求人票や募集広告に労働条件を確定的・断定的に記載してしまっていた場合でも、採用の過程で、労働条件通知書の交付や雇用契約書の締結を行っていれば、会社側は、
と主張することができます。
しかし、変更内容が著しく不利益になるような場合においては、信義則違反による損害賠償責任の問題にも発展しますので、労働条件を変更した理由には合理性があること、重大な労働条件の変更ではないこと、採用過程で応募者に期待を抱かせる言動はしていなかった等の説明が必要です。
どんな人材がどんな条件になるか、明確な基準を設ける
中途で社員を採用する場合、給与をどれくらいに設定するかは悩ましいところです。基本的に募集要項には、給与を含む労働条件を明記する必要があります。
一般的には、前職の給与、年齢、能力等を考慮要素として、また、選考段階等においても、金額面の調整をする必要があるでしょう。
自社において、どのような人材がどのクラス・賃金になるのか明確な基準を設定し、その通りに運用する必要があります。
また、もし
があります。
があるでしょう。
人材マネジメント上のポイント
基本的には賃金制度で、各等級ごとに応じたテーブルがあり、想定される等級ごとに給与が決まっているものとなります。
従って、
があります。
ただ、それにはひとつ前提があって、等級が適切に定義されていることになります。それには、抽象的・一般的な記載をその都度解釈して運用するのではなく、役割の厳格化、もしくはジョブの厳格化が望ましいと考えます。
アプローチとしては、
です。しかし、一方で、急激な変化を恐れて中々難しい場合がありますが、その場合は、まずは賃金制度と切り離して、導入を進めて行くのも一つの手段として考えられます。