業績悪化による内定取消!理由が業績であれば許されるのか?法律と企業の対策
最終更新日:2024.10.24
目次
業績悪化により企業側から内定取り消しをしたいが、違法性はある?
想定外の業績悪化により内定者に対して、内定取り消しを行いましたが、無効だと主張されましたがこのような主張は認められるのでしょうか。
内定取り消しするには、経営上の必要性と企業の努力義務などが必要
内定取消は解約権の行使となり、その行使は留保された
されます。
正社員に対する整理解雇については、
①人員削減の経営上の必要性、
②解雇回避努力、
③被解雇選定の合理性、
④被解雇者や労働組合等の協議、
という整理解雇の4要素が実務上の判断基準とされおり、内定取り消しに関しても、同じく整理解雇の4要素により、その有効性を判断するとされています。
これらの
になると考えています。
入社直前であったり、内定者が著しい不利益を被る場合は取り消しできない
インフォミックス事件(東京地決平9・10・31)においては、この整理解雇の4要素により内定取消の有効性を判断するとして、人員削減の必要性及び解雇回避努力は認められるとしながらも、
「債権者は、債務者の勧誘を受けて本件採用内定を受け、
」として、
内定取消前後の対応には不誠実に欠けるところがあり、採用内定に至る経緯や本件内定取消によって債権者が著しい不利益を被っていることからすれば、内定取消には客観的合理的理由がなく、無効であるとされています。
内定取り消しを進めるには「整理解雇の4要素」を満たす必要がある
業績の悪化による内定取消については、
と同時に、
することが必要です。
具体的には、整理解雇の4要素を満たすような対応をする必要があります。
①人員削減の経営上の必要性
業績悪化の度合について、前年比、将来見通し、人員削減することによる経営の見通しなどをケースバイケースで明らかにする
②解雇回避努力
経営陣の報酬削減、経費削減、非正規雇用の整理
③被解雇選定の合理性
会社内における人員構成、年齢構成
④被解雇者や労働組合等の協議
内定者は労働組合に未加入であるのが通常ですが、内定者本人に対して、十分に説明する機会を一度ならず、複数回設けることが必要でしょう。
内定取り消しの説明は誠実に。金銭支払いなどの配慮も有効
内定者への説明の際、可能であれば、単なる説明のみならず、合意による内定辞退へ向けた説得や、ある程度の金銭支払いやその他の配慮などの条件提示を行うことも、内定者に対する不利益緩和措置として有効でしょう。
また、内々定者については、労働契約が未成立の段階であるため、
ます。もっとも、労働契約締結上の過失として、誠実な対応の有無が問題になりますので、内定者へ対応と同様に、丁寧な対応が求められるのは言うまでもありません。
リストラは最大限の回避努力を。やむを得ない場合は現員のモチベーション維持も考慮
リストラについては、当然のことながら、最大限回避することが大切です。
しかし、やむを得ない場合の手段として、以下が挙げられます。
1)対象者を年齢等の属性ではなく、役割・業務内容、モチベーション状態から正確に測定する
2)業績回復を意識して、如何にスムーズに人員を立て直すことができるかどうかを視野に入れる
3)実行に際しては、対象者選定において論理的・合理的な理由を整理して、説明する。
合理性・法的根拠を整理して、対応していくことが必要です。また、現員の従業員のモチベーションを下げることがないように、経営・管理者からのフォロー等を十分に実施することも大切です。
実際には目標の浸透と、適切な評価・報酬等の処遇が不可欠です。