内定者が行方不明!?連絡が取れない場合の対応と内定取り消しの可能性
最終更新日:2024.10.24
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企業側から行方不明者を内定取り消しできる?
採用内定者と連絡がつかなくなり、対応に困っています。
一人暮らしをしているのですが、家族も連絡がつかないそうです。
このような場合、長期間連絡がとれなくなったことを理由に、内定を取り消すことは可能でしょうか。
連絡がないだけでは、内定辞退の意思とは判断できない
「内定」は、始期付解約権留保付労働契約であり、
一般的に会社が内定者に対して採用通知を送り、それが届いた時点や、
あるいは、採用内定者が会社に誓約書等を提出した段階などで、
「内定」となるものと解されています。
そして、実際の勤務開始日までに卒業ができなかった場合などに解約できることを条件とする労働契約が成立するものと考えられています。
しかし、
と解されます。
あらゆる手段を講じた場合は、内定取り消しも合理的
採用内定というのは、単なる労働契約締結前の交渉過程や労働契約の予約ではなく、
ことになります。
したがって、企業側から安易に採用内定を取り消すことはできません。
そのため、たとえば、入社前研修や、事務手続については、これを業務命令として命ずる根拠がないため、当該研修に参加しないことや、手続をしないことをもって、内定を取り消すことは難しいものと考えられます。
しかし
と考えられます。
事前書類に内定取り消しが有効となる規定を必ず記載を
まずは、採用内定通知や、内定者が提出する誓約書に、
「書類に虚偽内容を記載した」 「病気やケガ」
「学校を卒業できない」 「犯罪行為」などの「内定取消事由」を列挙しておき、その中に、「その他入社後の勤務に不適当と認められるとき」というような包括的な規定をいれておく
とよいでしょう。内定取消が有効になると評価でき、実際に内定取消をする場合は、
があります。相手方の所在が不明の場合は、厳密には、公示による意思表示(民法98条)という裁判上の手続をとる必要がありますのでこの点では留意が必要です。
裁判手続きを回避するには、家族から内定辞退の意思表示がカギ
裁判上の手続となると、時間もコストもかかりますので、まずは、このような手続に至る前に、何とか本人と連絡がとれるようにし、内定辞退の意思を明らかにしてもらうのが最も妥当な取扱いです。
また、実際には、会社が、両親や親族に対して内定取消の意思表示を行い、
その際に、
がとられることがあります。
もっともこの場合、やはり本人への意思表示であると評価できないため、後日、本人から内定取消の無効を主張される潜在的なリスクもありますので、注意しておく必要があります。
人材マネジメント上のポイント
原則としては、特に対応は不要だと考えていますが、この未曾有の事態に対して、
考えています。勿論、企業の業績によって、できることできないことがありますが、長期的な視点に立つと、今できる最大限の対応をすることが望ましいと考えています。
より
ということではないでしょうか。
その際の視点として、従業員の目線が内部ではなく、外部に向くようにする、さらには、仕事における充実、その結果としての当事者意識等の醸成が求められます。
これらの価値観を浸透させるにおいて、人材マネジメント上の施策は様々あるかと思います。人事制度、それに伴う評価制度構築だけではなく、実際に行動に移すことができるように浸透施策を検討すると同時に、在宅勤務だからこそ、過度な管理にならない程度に、コミュニケーションを密にとっていくことを心がけることも不可欠です。