着替えや片付けは労働時間?ポイントは会社の指揮命令下にあるかどうか
最終更新日:2024.10.24
目次
制服着用を義務付けているが、着替えは労働時間に含めていない
当社は所定の作業を行う場合に制服に着替えることを義務付けております。
当社としては労働時間に当たらないと考えていますが、その理解は正しいのでしょうか。
使用者の指揮命令下に置かれている間は労働時間になる
どのような時間が労働時間にあたるかですが、これは「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」であるとされています。
実務上においてもその解釈が確立しています。
注意が必要なのは、就業規則に1日8時間、1週40時間との記載があっても、これによって労働時間が決まるのではなく、
本件の場合、
されているわけですから、労働時間に該当すると判断されます。
さかえ経営は法律と経営、両方の視点から企業ごとに適した就業規則の策定を支援します。
時間外手当ルールや賃金制度、解雇・懲戒、休職等のルール、36協定の運用、長時間労働対策など
社会保険労務士と経営コンサルタントが最適な制度づくりをサポートします。
事業所内での業務の準備が義務付けられていれば労働時間にあたる
判例上、
ときは、(中略)当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、(中略)労働基準法の労働時間に該当する」とされています(三菱重工長崎造船所事件・最判平12・3・9民集54巻3号80頁)。
したがって、所定の作業着への着替えが所定の場所で義務付けられているのであれば、着替え時間は労働時間に該当しますが、そのような場合でなければ、着替えは労務提供の準備行為であり、労働時間とは認められません。
個別的な指示が無くても、黙示的な指示があったとされる場合
会社による義務付けについては、個別的な指示がある場合や就業規則及び作業心得等によって明記がされている場合だけでなく、これらの作業を行わないことによる不利益が就業規則等で明記されていたり、事実上不利益を受けたりする場合にも、
が高いので注意が必要です。
どのような状態が「使用者の指揮命令下」にあたるか
「労働者が使用者の指揮命令下におかれている」かどうかは具体的なケースごとに判断され、具体的な事例のあてはめの場面で様々な要素が考慮されているところですが、例えば
①義務付け(強制)の程度、
②業務性の有無(業務との関連性)、
③時間的・場所的拘束性の有無などの
要素を考慮して労働時間に該当するかが判断されることが多いです。
したがって、労働時間の解釈が統一されていないと、人ごとに「損した」「得した」という結果にもなりかねません。
人材マネジメント上のポイント
労働時間の定義を行っていく必要があります。
次にそれをベースとして、勤怠管理のルールの策定を実施します。
労働時間の定義とは、着替え時間・外出時間・電話当番等が労働時間に算入されるどうかを明確にする、
勤怠管理ルールの策定とは、ただ漫然と打刻させるのではなく、打刻のタイミング等を決めることです。
また、次のステップとして、
が望ましいと考えています。
いずれにしても、業務の量・内容の把握を第3者と共有することによる効果は非常に高く、特に管理者の動きが重要になってきます。
そのために、残業や深夜労働等を勝手に認めるのではなく、必要性等を踏まえて、判断していくことが必要になります。
さかえ経営は法律と経営、両方の視点から企業ごとに適した就業規則の策定を支援します。
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