新型コロナウイルスの影響で休業要請!急な勤務時間の変更はどうすればいい?
最終更新日:2024.10.24
目次
休業要請等に対応するため、従業員の所定労働時間数を短縮することは可能?
行政が求める休業要請等に対応するため、休業要請期間中の所定労働時間数を短縮することは可能でしょうか。また休日数を減らすこと等で労働時間制度の変更を行うことは可能でしょうか。
フレキシブルに対応できる1年単位の変形労働時間制の検討を
新型コロナウイルス感染症の影響により、行政からの要請を受けて休業したり、イベントの中止や学校の休業、事業活動の閉鎖や縮小などの影響を受けて、労働時間が減少してしまう事態が起こる一方、休む労働者が増えた際に残りの労働者の労働時間が増えてしまう事態が考えられます。
それらの労働者について、労働時間の上限を超えないようにするため、変形労働時間制を導入したり、変更したりする方法があります。
具体的には、人手不足のために労働時間が長くなる場合や、事業活動を縮小したために労働時間が短くなる場合については、1週間、もしくは1カ月の労働時間が変更されることが想定されるので、ある程度フレキシブルにできる1年単位の変形労働時間制導入することが考えられます。
1年単位の変形労働時間制とは?労働時間の条件を詳しく
労基法32条の4においては、
うえで、労働日および労働時間を具体的に特定した場合、特定の週および日に1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働させることができるとされています。
当該期間内において1週40時間または1日8時間をこえた労働時間が定められていても、超えた時間の部分は時間外労働とはならず、時間外労働手当を支払う必要はありません。
変形労働時間制の導入は労使協定締結のうえ、就業規則の改定が必要
年間スケジュール調整により変形労働時間制を導入したり、すでに変形労働時間制を導入している企業では、変更することにより対応が可能となります。
制度の恒常的な導入となる場合、労働者にとっての不利益変更にあたるとして、労働者から意義が出る可能性がありますが、不利益変更の合理性については、新型コロナウイルスの蔓延という緊急事態から必要性、合理性が認められやすい状況であるといえます。
制度変更は労使でよく話し合い、労働者が納得する形で進めよう
1年単位の変形労働時間制をすでに採用している事業場においては、当初の計画どおりに実施するのが困難となるケースも想定されます。
1年単位の変形労働時間制は、
しかし、今回の新型コロナウイルス感染症への対策による影響に鑑みれば、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、労使でよく話し合い、労働者が十分に納得したうえで制度変更をする努力をすることが望ましいといえます。
人材マネジメント上のポイント
労働時間制の変更に関しては、組織規模によって難易度が大きく変わってきます。本当に変更する必要があるのかということもに検討する必要があるかと思います。
体制の変化の問題もありますので、できる限り慎重に行うことが良いかと考えています。
具体的なアプローチとしては、業務分析が望ましいと考えています。
しかし、業務分析はあくまでも目的であり、手段ではありません。生産性向上のためであったり、ジョブ型人事制度であったりします。従業員の業務を可視化することは、適切な配分・効率化、処遇に繋がります。具体的な進め方としては、
業務分掌規程等から、各部門の業務の概略を整理し、業務プロセス(バリューチェーン)を意識することにより、抜け漏れがなく、また業務の粒度等を均一にすることが重要です。その次に、その業務の量・レベルを測定していきます。