インフルエンザ感染した社員は何日休むべき?休みは欠勤になる?会社としての対応を解説!
最終更新日:2024.10.24
目次
社員から「インフルエンザを発症した…」と連絡が入った場合、会社としてはどのような対応を行うべきなのでしょうか?出勤停止のような業務停止命令を下すべきなのでしょか?
また仕事を休んでもらう場合、具体的に何日間ほど休んでもらうのが適切なのでしょうか?
インフルエンザに感染したら、会社は何日休むべき?
インフルエンザにかかった場合、社員の健康を守るために適切な休養期間が必要です。
インフルエンザ発症後の休職期間は「発症後5日が経過し、さらに解熱後2日が経過するまで」とされています。発症日は日数に含めず、発症翌日を1日目としてカウントします。つまり、発症から最低でも5日は休む必要があり、その後熱が下がってから更に2日間、熱が再発しないことを確認しながら安静にすることが推奨されます。
「解熱」の定義について
解熱の定義については、発症時に38.5℃以上の高熱が見られた場合でも、体温が37℃まで下がったらすぐに解熱したとは言えず、平熱(多くの場合36.5℃前後)に戻ることが解熱とされます。平熱に戻った後も、体温が1日安定しているか確認が必要です。特に、一度下がった熱が再び上がる可能性もあるため、注意が必要です。
また、インフルエンザは熱が出ない場合もあります。この場合、腹痛や下痢、喉の痛みなどの症状が出た翌日から5日間は出勤を控えるべきです。この休養期間を守ることで、社員自身の回復を促し、職場での感染拡大を防ぐことができます。日頃から自分の平熱を知っておくことも、病状を正確に把握する上で役立ちます。
「熱が下がった=感染力がない」わけではない
インフルエンザに罹患した際は、医師のアドバイスに従って治療を優先させることが重要です。復職の時期については、インフルエンザの症状には人によって違いがあり、そのため全員に共通の回復時間があるわけではないことを理解する必要があります。
一般的な誤解として、「熱が下がった=完全に回復した」と思われがちですが、これは正しくありません。症状が見えない潜伏期でもインフルエンザウイルスは感染を広げる可能性があり、症状が現れてからも3日から7日は感染力が残ります。熱が下がった後も、咳や鼻詰まり、喉の痛み、下痢、頭痛などの症状が残ることがあり、これらの症状がある場合は他人に感染させるリスクがまだ存在します。
熱が下がって2日が経過しても症状が残る場合は、他人にウイルスを広げないためにも、自宅での療養を続けることが望ましいです。どうしても外出が必要な場合は、マスクの着用を徹底し、人混みを避けるようにしましょう。これらの対策により、自身の健康を守りながら、他人への感染リスクを最小限に抑えることができます。
必ずしも「出勤停止」にする必要はない
従業員がインフルエンザに感染した際、会社は従業員全員が安全で健康に働けるよう配慮することが法的に求められています。これには、事前に危険や健康障害を発見し、予防対策を講じる義務が含まれます。
そのため会社としてはは、インフルエンザに感染した場合の就業規則を明確にし、従業員に欠勤時の手続きや必要な書類の提出方法を事前に通知することが重要です。また、復職時の「治癒証明書」や「陰性証明書」の提出要求は、厚生労働省によると必要ありませんが、実際の運用では医療機関の負担や混雑状況を考慮し、柔軟に対応することが推奨されます。
つまり、インフルエンザに感染した従業員の管理に関しては、必ずしも出勤停止措置を行う必要はありませんが、他の従業員の安全と健康を守るための予防策として、明確なガイドラインの設定と、柔軟な対応が必要といわけです。
治癒証明書を提出する必要もない
インフルエンザに感染した社員が職場に復帰する際、基本的に「治癒証明を提出する必要」はありません。
この措置は、社員が医療機関を訪れることによる追加的なリスクや、医療機関の負担増加を避けるためです。代わりに、社員が自己申告により健康状態を報告し、発熱や主要な症状が一定期間(例えば、解熱後48時間等)ないことを確認することが求められます。
自己申告に基づく方針は、社員と会社の相互の信頼関係を重視し、社員の健康と職場の安全を守るための現実的な対応と言えるでしょう。ただし、職場によっては職種や業務の性質上、より厳格な健康証明が求められる場合もありますので、もし治癒証明書の提出を義務付けたい場合は、会社規定の就業規則に明記するようにしましょう。
インフルエンザでの休みは「有給休暇 or 欠勤」?
まず、従業員がインフルエンザで休む場合に「有給休暇を使用するか?」は、従業員本人の有給残数と本人の申請に基づきます。
労働基準法によれば、有給休暇の拒否は罰則の対象となることがありますので注意が必要です。ただし、従業員からの明確な申請がない場合に勝手に有給休暇とすることは法律に違反します。
また、会社に病気休暇や特定の疾患に対する休暇制度が設けられている場合、その規定に従って休暇申請を処理することが望ましいです。有給休暇が残っていない場合には、欠勤としての扱いも適切です。このように、従業員の健康と安全を守りつつ、法令と企業の規則に基づいた適切な対応を心がけましょう。
会社が「休業手当」を支払うべきケースも
もし企業の決定により従業員がインフルエンザで出勤できなくなった場合、労働基準法に基づき「休業手当」の支払いが必要になる場合があります。この法律では、企業側の理由で休業する際には、従業員にその平均賃金の60%以上の手当を支払うべきと定めています。
引用:労働基準法第二十六条|厚生労働省
詳しくは後述しますが、休業手当の支払いは、「出勤停止の理由が企業の責任にあるか?」によります。
たとえば新型インフルエンザと季節性インフルエンザでは、法的な基準が異なるため、手当の支給基準にも違いがある点に注意が必要です。つまり、企業はインフルエンザによる出勤停止命令が自社の責任範囲内にある場合、労働基準法に従って適切な手当を支払う必要があるということです。
休業手当が支払われるケースとは?
会社が出勤停止を命じた場合、多くの場合、休業手当が支払われます。
これは労働基準法に基づいており、従業員が仕事に就く意思と能力があるにもかかわらず、会社の都合で働けない場合に適用されます。ただし、具体的な取り扱いは企業の規定に依存するため、個々の企業の方針を確認する必要があります。
季節性インフルエンザの場合
社員が季節性インフルエンザに罹患した際には、企業は法的な根拠がないため出勤を停止させることは「会社都合」と見なされ、休業手当の支給が必要になります。この休業手当は、平均賃金の60%以上を支給することが基本ですが、会社の就業規則で異なる取り決めがある場合は、その規定に従います。
新型インフルエンザの場合
一方で、新型インフルエンザに関しては、「特定感染症」に指定されており、社会に大きな影響を及ぼす可能性があるため、従業員の出勤停止が法律によって義務付けられています。
これにより、出勤停止命令は法的な根拠に基づくものとなり、企業は休業手当を支払う必要がありません。従業員には原則として欠勤扱いとなり、休業手当の支給は不要となる点が季節性インフルエンザの場合とは異なります。
インフルエンザで出勤すると法律違反になる?
通常のインフルエンザであれば法律違反とはされませんが、新型インフルエンザや鳥インフルエンザの場合、法律で就業が禁止されていることがあります。無理して出勤し他の従業員に感染を広げるリスクも考慮し、自宅での療養が推奨されます。
そのため会社としても、インフルエンザ時の出勤の有無や、具体的な法的取り扱いについては社員にあらかじめ周知しておくことが大切です。
会社への連絡方法をルール化しておくことが大切!
体調不良による欠勤の場合、迅速な連絡がマナーです。
一般的には電話での初期連絡が推奨されますが、近年ではメールでの連絡も一般的になっています。ただし、企業や上司によっては電話での連絡を好む場合もあるため、これらの連絡手段についても、就業規則によって「どのような対応を行うべきか?」を、日頃から社員に周知しておくことが大切です。
インフルエンザが毎年広がる傾向にある中、社員が感染した際にはその健康を最優先し、同時に社内での感染拡大や業務の遅れを防ぐための対策が必要です。さらに、リモートワークや時差出勤を積極的に導入することで、社員を感染症から守り、企業の危機管理能力を高めることが求められます。これらの措置は、社員の健康を守ると同時に、事業の継続性を保つためにも効果的です。
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