生理休暇制度とは?労働基準法の規定や特別休暇との違いを解説!
最終更新日:2024.10.24
目次
生理は女性が職場で直面する避けられない自然現象ですが、その影響は人によってさまざまです。
一部の女性は、生理に伴う不調が仕事に影響を与えることがありますし、生理休暇を申請することへの抵抗感を持つ人も少なくありません。このような状況は、働く環境におけるオープンなコミュニケーションの欠如や理解不足が原因であることが多いです。
本記事では女性社員の生理休暇の扱いや、会社としての対応について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
そもそも「生理休暇」とは
生理休暇は、働く女性が生理による体調不良で就業が困難な場合に取得できる休暇です。
労働基準法第68条に基づいており、生理日に就業が著しく困難な女性が休暇を請求した際、企業はこれを拒否できません。また対象は正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトなど非正規雇用の労働者も含まれます。
つまり生理休暇は、生理による下腹痛、腰痛、頭痛などで通常の業務が困難な場合に利用可能な特別休暇です。
当然ですが整理休暇は、「生理日が仕事に支障をきたすほどの困難を伴う」ときのみ適用され、すべての女性従業員が自動的に利用できるわけではありません。生理休暇の取得は、業種や雇用形態に関係なく可能ですが、企業がこの休暇を設けるためには、就業規則に具体的な取り決めを記載する必要はありません。なぜなら、生理休暇は法律によって保障された権利であり、従業員が請求した場合、企業はこれを認める義務があるからです。
万が一、企業が生理休暇の請求を不当に拒否すると、労働基準法に基づき最大30万円の罰金が科される可能性があるため、企業は従業員の権利を尊重し、適切な対応を取る必要があります。この制度は、「一生懸命な施主」と「誠実な工務店」が協力し、健康と仕事のバランスを重視する働きやすい環境を作り出すことを支援します。
特別休暇の違いは「法定休暇」であるかどうか
生理休暇は法律に基づく権利であり、特定の条件を満たす女性労働者に対して提供されるものです。
一方、特別休暇は企業が自由に設定し、労働者全員または特定の条件を満たす労働者に提供される休暇で、慶弔休暇、夏季休暇、リフレッシュ休暇、裁判員休暇などがあります。
生理休暇は、労働基準法第68条に基づいて定められた法定休暇で、生理により就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合に与えられる権利です。そのため、
ただし、生理休暇は「欠勤」扱いも可能
生理休暇は「有給 or 無給」?
給与の支払いに関しては、生理休暇中の給与支払い義務は法律で定められていないため、企業の方針によって基本的には「無給」となることが一般的です。
また、取得できる日数に上限は設けられておらず、半日単位や時間単位での取得も可能です。
厚生労働省の調査によると、生理休暇の取得率は0.9%と非常に低く、その理由には職場環境や男性の理解不足などが挙げられます。取得を行わない理由としては、
- どうせ給料が出ない・欠勤扱いなら、取得する意味がない
- 男性社員・上司にバレたくない
- なかなか休むと言い出しづらい
また一部の企業では、女性の働きやすさを高めるために生理休暇を有給休暇とするなどの積極的な取り組みを行っており、女性の健康と働きやすさを重視する企業文化の展開が期待されます。
参考記事:『厚生労働省 働く女性と生理休暇について』
女性が生理休暇を取得するメリットとは?
では無休で欠勤扱いになる可能性がありつつも、女性が生理休暇を取得するメリットには何があるのでしょうか?
女性が生理休暇を取得する最も大きなメリットは、有給休暇が付与されていないタイミングでも取得できることでしょう。
労働基準法では、有給休暇の取得条件として、
上記の条件が求められています。
有給休暇は、勤務形態にかかわらず適用されるため、パートタイム労働者もこの制度の対象となる反面、パートタイム労働者に対しては、正社員と比較して付与される休暇日数が少ない場合があります。
そのため「法定休暇」という側面からも、生理休暇はすべての女性にとって平等に与えられた「休暇取得の権利」というメリットが多きいでしょう。
生理休暇について、企業が理解すべきポイント
では実際に生理休暇を積極的に推奨している企業として、具体的にはどのようなポイントを押さえておく必要があるのでしょうか?
ここからは生理休暇に関して押さえておくべきポイントを解説します。
1時間単位で取得できる
生理休暇は1日単位だけでなく、半日単位や時間単位での取得も可能です。これにより、症状に応じて柔軟に対応できます。
法的には無制限に取得できる
生理休暇の取得日数に上限を設けることは認められていません。生理による体調不良は個々に異なるため、必要な日数分の休暇を認めるべきです。
給与の有無は企業ごとに定める
生理休暇の給与有無は企業の判断に委ねられています。ただし、無給の場合は、それが従業員の休暇取得の妨げにならないよう配慮が必要です。
男性を含めた全従業員に周知し理解を得る
生理休暇の制度やその取得に関して社内での理解と支援を促進することが大切です。特に男性従業員や生理の症状の軽い女性従業員からの理解を得るための研修なども有効です。
生理休暇取得の申請プロセスは簡単にする
生理休暇の申請手続きを簡素化し、従業員がストレスなく申請できるようにすることが重要です。
不正な生理休暇を防止する
生理休暇の不正取得を防ぐための対策も検討する必要があります。例えば症状を具体的に申告し、上司および先輩の女子従業員のによるチェックを行うなどのルールを策定します。
生理休暇に関する、企業の取り組み事例
ここまで生理休暇について解説してきましたが、先に紹介した国のデータにもある通り、やはり女性社員にとってはまだまだ生理休暇を取得しづらい現状にあることも確かです。
そこで実際に生理休暇の積極的取得に力を入れている企業による、生理休暇に関する取り組み事例をいくつかご紹介していきます。
- 男性社員にも理解を深めるために生理に関する研修を行う。
- 女性トイレには、社員が自由に利用できる生理用品を常備しておく。
- 生理休暇の名称を「健康休暇」「エフ休」のように呼びやすい名前に変更して、取得の敷居を低くする。
- 生理だけでなく不妊治療や婦人科系疾患・つわりにも対応可能にする。
- 「ライフサポート休暇」を新設し、有給休暇を生理だけでなく、不妊治療や子どもの学校行事への参加時にも利用可能にする。
- 生理休暇の取得可能範囲をPMS(生理の3〜10日位前から起こる月経前症候群)期間にも拡大する。
- 無給だった生理休暇を有給化し、月に1日は取得できるようにする。
生理休暇を「取得しやすい」「言い出しやすい」環境づくりが大切!
Job総研の828人の社会人男女を対象に行われた「2023年 生理休暇の実態調査」によると、生理休暇の取得率は1割にとどまり、実際に生理休暇を請求した割合は0.9%と非常に低いことが明らかになりました。さらに多くの女性が鎮痛剤を飲んでも痛みがある場合や、鎮痛剤が効かず横になる必要がある場合に休暇を利用すると回答しています。
しっかりと社員一人ひとりが、各々の権利を主張できるよう、会社としても女性社員が休暇を「取得しやすい」「言い出しやすい」環境づくりを行っていくことが非常に大切なのです。
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