風邪による出社基準はどのように規定すべき?
最終更新日:2024.12.16
目次
問題の事象
社員の中に、明らかな風邪症状でも出社してくる人がいます。
職場での感染まん延防止の観点から、風邪による出社基準を定めても問題はないでしょうか?
解説(基本的な考え方)
感染まん延防止の観点からも、一定の発熱や風邪症状のある社員に休んでもらう措置をとることは有用です。
そのためにも
・休業手当や傷病手当金の支給
・有給休暇の事後申請
などについて、明確に規定しておくとよいでしょう。
「風邪」とは
風邪(かぜ)とは、鼻やのど(上気道)に炎症を起こす感染症の総称で、正式には「風邪症候群」といいます。
一般的に
・のどの痛み、咳、たん
・発熱
などの症状があり、原因の80~90%がウイルスといわれています。
季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症も、この「風邪症候群」に含まれます。
風邪の原因となるウイルス
風邪の原因となるウイルスは200種類以上といわれています。
風邪(かぜ)を引き起こす主なウイルス(インフルエンザ、新型コロナ以外)
※第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局」より
風邪を発症した際の出社基準
法律により就業を禁止されているケース
1.労働安全衛生法
と定められています。
また就業禁止の対象として労働安全衛生規則第61条では
→「伝染させるおそれが著しいと認められる結核にかかっている者」をいう(行政通達(平成12年3月30日基発第207号))
・心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるもの
・前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者
と規定されており、咳が続くなどの症状が長期化している場合などは、結核の可能性も考慮した対応が必要でしょう。
2.感染症予防法
感染予防法で就業制限の対象となる感染症としては、
・二類感染症(結核、鳥インフルエンザなど)
・三類感染症(コレラ、細菌性赤痢など)
・新型インフルエンザ等感染症
があります。
流行した場合には大きなニュースになる類のものがほとんどで、感染が広がっているときには行政機関からの情報をよく確認することが大切です。
独自の出社基準が必要なケース
五類感染症にあたる季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などを含め、「風邪症候群」への罹患は、法律による就業制限がありません。
そのため、職場での感染拡大を防ぐためにも、出社基準や手続きについて独自に定めておくことが必要となります。
出社基準の設定については、厚生労働省による「(季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症にかかったときの)外出を控えることが推奨される期間」が参考になります。
・特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えること
・5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ること
これらを参考に独自の出社基準を作成し、休業手当支給や有給休暇の事後申請ルールなどを含めた規定を準備しておくとよいでしょう。
まとめ
感染の職場まん延を防ぐためにも、風邪症候群を含む感染症に罹患した社員に休んでもらうことは有用です。
事前に明確なルールを作成し、周知しておくようにしましょう。