同業他社への転職を禁止することは可能か?競業避止義務とその法的有効性について
最終更新日:2024.10.24
目次
社員の同業他社への転職を阻止できますか?
社員が同業他社へ転職しようとしているようです。
当社は競業会社への転職を禁止していますが、これを阻止することができるでしょうか。
競業他社への転職の禁止はよほどのことがない限り難しい
在職中の社員は、労働契約の付随的な義務として、会社に対して競業避止義務を負担することになりますが、この競業避止義務は、あくまでも労働契約から生じる付随的な義務である以上、退職後は、会社との労働契約の終了に伴って、当然に当該義務も消滅することになります。
したがって、
があります。
社員の職業選択の自由を不当に害してはいけません
社員に対して退職後も競業避止義務を課すべく、社員の入社時・退職時に誓約書の交付を義務付けることがあります。
しかし、退職後の社員に対して競業避止義務を課すことは、退職後の社員の職業選択の自由を制限することになり、その法的有効性が問題となります。
裁判例では、
①退職した社員に競業避止義務を課す必要性、
②社員の退職前の地位、
③競業禁止義務の制限時間・職種・地域の妥当性、
④会社による代償措置の有無・程度、
等を考慮して、
する傾向にあります。
妥当性を考慮し、競業禁止義務に関する誓約書を作成
競業避止義務に関する誓約書を、制限の範囲を具体的に明記して作成します。
誓約書の制限範囲を具体的に明記することで、法的有効性も担保でき、かつ、社員への抑止力も高まると考えられます。
競業避止義務に関する誓約書作成にあたっては、以下の点に留意するようにしてください。
①誓約書の交付を求める社員の地位(当該社員の地位に応じて誓約書の交付を義務付けること)
②制限時間(過度な制約とならないような一定期間)
③制限地域(できる限り制限の範囲を限定すること)
④禁止する競業行為の範囲(できる限り具体的に列挙すること)
⑤代償措置の設定(競業避止義務を課すことに対する金銭的保障等)
元社員の同業他社への転職が発覚したら競合避止義務違反があるか確認を
元社員が同業他社へ転職したことが発覚した場合、まずは、当該元社員に競合避止義務違反があるといえるか否かを検討することになります。
具体的には
ことになります。
ことになります。
そして、
していくことになります。
人材マネジメント上のポイント
同業他社への転職については、その管理・抑制は勿論ですが、従業員のモラル等も重要になってきます。
人材マネジメントにおいては、そのモラルをどう形成するかだと思います。そのためのマネジメントは、
だと考えられます。
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。この個人の
があります。
また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかをという本人の志向性も重要になってきます。
また、
も必要だと考えています。