新規採用者に住民票を提出させるのは問題ない?
最終更新日:2024.10.24
目次
問題の事象
当社では新規採用者全員から家族が記載された住民票の提出を一律に求めていますが、これは問題はないのでしょうか?
解説(基本的な考え方)
労働者を募集・採用する際、個人情報等の収集は慎重に行う必要があります。
社会的差別の原因となる可能性がある情報や、思想・信条に関するものなど、原則として収集してはならない情報も存在します。
また採用決定後でも、戸籍謄(抄)本や身上調書などの不必要な書類の一律的な提出要求は避けるべきです。
住民票の提出についても、
ことが望ましいでしょう。
募集・選考時の個人情報収集
個人情報の取扱い
個人情報保護法により、個人情報の収集に関しては例外を除き必要最小限に留めるべきであり、収集目的が明確で、かつ本人から直接情報を得る方法が推奨されています。
その為、募集段階で特定の書類の提出を求める必要がある場合には、その目的と必要性を明確に説明し、本人の同意を得る(同意書に記載を求める)ことが不可欠です。
原則収集してはならない情報
社会的差別の原因となる可能性がある情報や、思想・信条に関するものなど、原則収集してはならない情報があります。
具体的には
●人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
例 : 本籍地、出身地、家族状況(学歴・職業・収入等)、住宅状況、本人の資産(借人状況)、容姿等
●思想や信条に係る事項
例 : 宗教、人生観、支持政党等
●社会活動に関する情報
例 : 労働組合への加入状況、労働運動・学生運動・消費運動への参加など
がそれにあたります。
収集が必要な情報とその範囲
労働者名簿の記載(労基法第107条)
氏名、生年月日、履歴、性別、住所、従事する業務の種類、雇入れの年月日、退職の年月日とその事由(解雇の場合はその理由を含む)、死亡の年月日とその原因を記載します。
本籍地の記載は不要です。
年少者の年齢証明書(労基法第57条)
氏名と出生年月日について、「住民票記載事項の証明書」で証明されていれば十分です。
家族状況に関する記載
扶養親族の認定などの際に事実確認が必要な場合は、使用目的を本人に説明した上で提示を求め、確認後は返却する措置を取るべきです。
安全衛生法上の健康管理手帳交付申請書、免許証、技能講習修了証等
これらの書類において本籍地の記載は必要なく、都道府県名の記載だけで足ります。
就業規則への記載内容を再確認しましょう
氏名・住所・年齢の確認には「住民票記載事項の証明書」のみで充分であり、例えば戸籍謄本や住民票の写しの提出などは「最低限の書類」の範囲を超えているといえます。
これらの書類の入社時提出を就業規則等で規定している会社も多いと思いますので、これを機会によく確認をし、規定を見直しておくとよいでしょう。