36協定の「月45時間」を超えて時間外労働をせざる得ない時はどうする?
最終更新日:2024.10.24
目次
問題の事象
ソフトウェア開発会社で働く400名の従業員が、プロジェクトのトラブルが原因で深夜残業や休日出勤が続いています。
36協定の限度時間を超える残業が避けられない場合、法律違反を避けるための例外的な措置は存在するのでしょうか?
解説(基本的な考え方)
この協定には、
・限度時間を超える時間や回数
・「特別の事情」の具体的内容
・限度時間を超える時間外労働に対して支払う割増賃金率(25%を超える率で定めるように務める)
等を定めます。
36協定で労働時間を延長できる限度
36協定とは
原則、会社側は従業員に対して法定労働時間を超えた労働はさせられません。
法定労働時間は
・1日8時間以内
・週40時間以内
です。
この法定労働時間を超えて時間外労働を行う場合には、事前に労使間で協定を結ぶ必要があります。
この協定を一般に「36協定(さぶろくきょうてい)」とよび、正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」です。
労働基準法36条にもとづく労使協定であるため「36協定」と呼ばれています。
36 協定で労働時間を延長することができる限度
労使間で36協定を締結することで、法定労働時間を超えて労働を行うことが可能となります。
ただし36協定で定める時間外労働時間には、罰則付きの上限が設けられています。
上限は
・月45時間
・年360時間
となっており、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
36協定の特別条項
臨時的な特別な事情による予見することのできない業務量の大幅な増加備え、さらに限度時間(月45時間・年360時間)を超えて労働させることができる時間を特別条項として定めることができます。
ただし、その場合においても
- 年間の時間外労働は720時間以内
- 休日労働を含み、単月で100時間未満
- 休日労働を含み、2カ月ないし6カ月平均で80時間以内
- 原則である月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合には42時間)の時間外労働を上回る回数は年6回まで
と規定されています。
また「臨時的な特別な事情」の内容についても具体的に規定しておく必要があります。
臨時的な特別な事情と認められないもの
〇(特に事由を限定せず)業務の都合上必要な時
〇(特に事由を限定せず)業務上やむを得ない時
〇(特に事由を限定せず)業務繁忙な時
〇使用者が必要と認める時
〇年間を通じて適用されることが明らかな事由
臨時的な特別な事情と認められるもの
〇予期せぬ納期変更などによる納期のひっ迫
〇予期せぬ大規模なクレームへの対応
〇予期せぬ重大な機械のトラブルへの対応
36協定の届け出
労働者に法定労働時間を超えた時間外労働・休日労働をさせる場合、あらかじめ労使間で36協定を締結したうえで、労働基準監督署に36協定届を提出する必要があります。
またこの36協定届は、協定の締結を続ける限り毎年提出しなければなりません。
なお、労働災害認定基準によると、月80時間を超える時間外労働は脳・心臓疾患のリスクを高める可能性があるとのことです。
いざという時のために36協定を適切に締結するとともに、労使で協力して時間外労働の削減に努めることが必要でしょう。