休職期間満了後のトラブル!うつ病やメンタルヘルス問題を抱える社員の退職拒否への対応
最終更新日:2024.10.24
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うつ病で休職し、期間が満了しても退職を拒否される
うつ病(私傷病)により休職していた従業員に対して休職期間満了退職としたが、就労可能だとして訴えられました。
この場合は就労させなければならないのでしょうか。
疾患が治癒しておらず、復職できない状態であることを確認する
会社がメンタル疾患により休職中の社員から復職を求められ、会社としてもその社員に従事してほしい職務がある場合であっても、
があります。
仮に、復職が可能だと判断された診断書が提出されたとしても、その主治医が当該社員の従事する業務の内容を詳細に把握している訳ではなく、本人も含めた要望が含まれている場合もあります。
例えば、当該社員の同意を得た上で、産業医ないし会社担当者において、主治医から上記診断に関する医学的意見を詳細に聴収するなどして、その結果を踏まえて判断するなど慎重な対応が求められます(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き)。
復職させて症状が悪化した場合、会社が注意義務違反に
何かしらの形で対応しないと、他の人に対して、気苦労と業務負荷をあたることになり、職場の風紀全体が乱れる可能性があります。
さらに、その結果として業績の低下、優秀な人材の離脱の可能性もあります。また、復職にあたり、
ので、復職にあたっても、業務付与にあたり、労働者の心身の健康についても注意する義務を負います。
同じことが、社員に強い復職意思がある場合にも言えます。
長時間の時間外労働や日常的に精神的緊張を伴う業務に従事していた社員が神経症を患い、自殺未遂を図るなどして欠勤していたが、当該社員から多数回にわたり復職したい旨の申し入れがあったこともあり、復職を認めて業務に従事させたが、復職から5日後に突然死した事案において、裁判所は当該社員の死因を心臓性突然死を含む心停止と認定した上で、欠勤前後の業務について、その量・内容等から判断して、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然的経過を超えて著しく増悪させすることが客観的に認められる負荷に該当するとして、会社の上記注意義務違反を認めています(ニューメディア総研事件・福岡地判平24・10・11労判1065号51頁)。
診断書の妥当性を慎重に確かめる
就業規則等規程への対応しては、休職事由と復職要件を明確に記載すると同時に、場合によっては医師等のセカンドオピニオンなどの内容を追加する必要があります。
また、その際に
と思います。また、専門医の診断は尊重されるべきものですが、必ずしも絶対的なものではない可能性があります。本人が持ってきた診断書についてもその妥当性を確かめることが必要です。
以下のような方策が求められます。
① 他の会社指定医の診断の診断を受ける。この場合、産業医の診断面談の場合もあり得る
② 主治医に面談し、診断に至る事情、根拠等を確認する
これらの内容も規程に記載することが必要です。
会社が主治医と面談し、当該社員の業務内容等について説明する
会社指定の診断の場合、対象社員がそれを拒んだ場合、拒むのに合理的な理由がなければ少なくても主治医の診断書の信頼性によりマイナスの評価を与える材料になり得ます。
特に、産業医の場合は、法的な制度として、設けられている産業医の診断を拒むことは、よほど当該社員の側に合理的理由がないと当該社員の主張を信用することが出来なくなるでしょう。
また、主治医の面談については、主治医は往々にして自らの患者の説明しか判断材料の基礎なる情報を有していない場合が多いので、会社が
といった事情について、具体的な説明をする準備を行って行うことが必要です。
また、休職する際に病状の要求と回復した時の要件・状態等を共有しておいた方が良いかと思います。
また、配置転換も踏まえた復職の可能性を模索する必要があります。復職できない場合は、事前にある程度の話し合いも必要かと思います。
メンタルヘルス問題を起こさない、人材マネジメントのポイント
責任感のある社員を育成することはひとつのテーマであるかと思います。
しかし、過度になりすぎると、他の人に対しても悪影響を与えてしまいます。責任感を醸成しつつも、チームの一員としての職務・役割を定義し、
があります。
また、別のアプローチとして、業務の効率化やカイゼンの意識付けを行うことを目的とした、ワークショップや研修、さらには目標設定等も想定されます。
いずれに施策にしても、責任感を醸成しつつ、その責任感を効率化、さらには生産性向上につながるようなアプローチが必要になります。