入社後に経歴詐称が発覚!解雇は可能?企業が知っておくべき対応法
最終更新日:2024.10.24
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入社1年が経過した社員の経歴詐欺が判明!解雇できる?
入社1年程度経過した社員について経歴詐称が判明したので解雇したいですが可能でしょうか。
入社後1年が経過しているなら、現在のパフォーマンスを見ることが重要
会社が従業員を採用する際、そこには必ず理由が存在します。
会社はこれら個々の理由を満たすだけの人材を確保するために「採用・不採用」の決断をしなければならない状況にあるのですから、その人の学歴、職歴、賞罰歴をはじめ、所持している免許などの情報がなくては、正確な採用はできません。
これだけ重要なことであるからこそ、もしそれが虚偽の申告であったならば、重い処分を科し、場合によっては懲戒解雇に相当するほどの重要事項だと思われます。
しかしながら、入社後1年を経過していることから、当初想定したパフォーマンスが発揮できるか要るか否かがカギになってきます。
学歴詐欺、年齢詐欺など重要な経歴詐欺は、懲戒処分が妥当
重要な経歴詐称を原因として懲戒解雇処分とすることは、妥当とされる場合が多いようです。
例えば「大学中退にもかかわらず、大卒と偽り、大卒以上の学歴だけで構成されたグループに採用された」や「60歳定年とする会社に、実年齢の57歳を45歳と偽って働いた」等は、それぞれ「虚偽の申告がなければ採用はありえなかった」として解雇処分が有効とされています。
つまり、経歴詐称によって、相手方の信頼や期待を裏切るという信義則上の違反を犯し、当該会社での採用された者に適用される職務等級に応じた賃金を受けていたのですから、重要な経歴詐称といえるでしょう。
「重要な経歴詐欺や不当な手段で入社した際は懲戒」と就業規則に記載を
いざ問題が生じたときに、会社として有利に展開できるような布石を打っておくことです。
具体的には、やはり就業規則の整備が挙げられます。
まずは規程に「入社時の必要情報の記載や調査の可能性」があることを記載しておく必要がありますが、これだけでは不十分です。
たとえ経歴詐称が発覚した社員を解雇しようとしても、就業規則に経歴詐称入社の場合の対処法が書かれていなければ、仮に裁判になったとき、会社としてマイナス要因になりかねませんので、そのためにも、就業規則上の懲戒事由に「重要な経歴を偽るなど、その他不正な手段で入社したとき」という項目を記載し、会社として万全に事を進めていきましょう。
軽い詐称、入社後時間が経ちすぎている場合、解雇は厳しいとの判例も
応募者の経歴に関しては、会社としては提出資料や面接時の話を信じるしかありませんが、履歴書だけでなく、大学の修了証書、資格証明書等の提出を求める等の会社側の努力は求められます。
また試用期間の運用を厳格に行う必要があります。
一律的に解雇はできませんが、その間に見極めを適切に行うと同時に、おかしな点があれば、試用期間の延長を視野に入れた対応が必要になります。
ただし、あまり重要な経歴詐称でない場合や時間が経ち過ぎているものに関しては、解雇処分は厳しすぎるとの判例が出ていますので、当初想定したパフォーマンスが発揮できているか否かで判断するなど、あわせて注意が必要です。
人材マネジメント上のポイント
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求めれます。
しかし、職務経歴書等から確認することが通常ですが、中には誇張表現等があり、的確に反映できない可能性があります。
そのため、身元調査は一番、近いと思われますが、難しい側面も多々あります。
解決の方向性としては、以下の2点かと思われます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。
この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合には
もしかするとその仕事に向いていない場合があります。
また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、
それとも単に生活のためだけでに働いているのかをという本人の志向性も重要になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが予定されている業務等を明確にすると同時に、
その到達レベルを可視化していくことにより、
その内容に沿った質問等をすることが可能になります。