有期契約の社員から無期契約(正社員)へ転換の要求!応じなければいけない?
最終更新日:2024.10.24
目次
問題の事象
有期契約社員から有期契約が5年経過したので正社員にするように主張されましたが、対応する必要はあるのでしょうか。
解説(基本的な考え方)
労契法18条1項は、有期契約社員の雇止めに対する不安を解消するため、
を与えています。
したがって、有期労働契約は、複数回更新されても当然には無期労働契約には転換しませんが、有期契約社員が取得した転換権の行使により、無期労働契約に転換することがあります。
つまり、原則としては認める必要はありませんが、
また、転換権が行使されると、会社の意向にかかわらず、会社は無期労働契約の申込みを承諾したものとみなされます。
トラブル回避できない場合のリスク
転換権の事前放棄について、「無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結以前に、無期転換申込権を行使しないことを更新の条件とする等、有期契約労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させることを認めることは、
労契法18条の趣旨を没却するものであり、こうした
とし、認めることはできないとされています。
規程・マニュアル作成上のポイント
有期契約社員が転換権を行使して無期転換社員になった場合、
ですが、これまでの就業規則の適用対象者を期間の定めの有無に応じて区別していた場合(例えば、正社員就業規則の適用対象者を「期間の定めのない者」としている場合など)、正社員用の就業規則が無期転換社員にも適用されるため、無期転換社員の労働条件は、賞与や退職金等も含めて様々な労働条件が正社員と同じになります。
したがって、会社が、無期転換社員について、正社員と異なった処遇を予定しているのであれば、
するのがよいでしょう。
運用上のポイント
特に、有期契約社員について定年(雇用上限)を設けていない会社が多いため、定年制について就業規則を新設する必要は大きいものと考えられます。
このような就業規則の新設は、
です。
なお、就業規則で労働条件を、有期労働契約時より不利益に変更する場合は、労契法7条の
ので注意が必要です。
正社員、有期契約社員、無期転換社員の労働条件の違いを十分に理解し、行き過ぎた区別をしないように周知徹底する必要があります。
人材マネジメント上のポイント
何故、
があります。
また、現状としてどのような業務・役割を担っているかを整理も併せて実施します。
その結果、
その際に、所定労働時間の過多は関係なく、純粋の「業務・役割」の差異で測定します。待遇については、「同一」であれば、月給を時給に変換して対応することになります。
することになるかと思います。今後の方向性として、
だと考えています。