新型コロナウイルス感染者の休業手当は必要?会社の対応方法を解説
最終更新日:2024.10.24
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新型コロナウイルスに関係して休業させた社員に、有給休暇を取得させることは可能?
新型コロナウイルスに感染した、もしくは濃厚接触者の疑いのある労働者を休業させたい場合、会社は休業手当を支払う必要があるのでしょうか。
また、休業ではなく有給休暇を取得させることは可能でしょうか。
年次有給休暇を会社が一方的に取得させることはできない
賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
※不可抗力による休業の場合は、「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。
ここでいう不可抗力とは、
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお
避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
また年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものなので、使用者が一方的に取得させることはできません。
会社の判断で休業させる場合は休業手当を支払う必要がある
自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
また、例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者に休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要が出てくる可能性が高くなります。
新型コロナウイルス感染者には、休業手当を支払う必要はない。傷病手当金が支給される
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、被用者保険に加入している場合であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認が必要です。
新型コロナウイルスで就業制限を行う場合は、感染症法に従う
令和2年2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなりました。
感染症法により就業制限を行う場合は、感染症法によることとして、労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしませんが、感染症法の制限に従う必要があります。
不測の事態に備える人材マネジメント上のポイント
業種にもよりますが、どのような従業員が急に抜けたとしても、業務の体制を維持することができるように普段から、確認ごとの業務を把握しておく必要があります。
具体的なアプローチとしては、業務分析が望ましいと考えています。
しかし、業務分析はあくまでも目的であり、手段ではありません。
生産性向上のためであったり、ジョブ型人事制度であったりします。
従業員の業務を可視化することは、適切な配分・効率化、処遇に繋がります。
在宅勤務導入をあわせて、もしくはその結果として、検討してみてはいかがでしょうか。
具体的な進め方としては、業務分掌規程等から、各部門の業務の概略を整理し、業務プロセス(バリューチェーン)を意識することにより、抜け漏れがなく、また業務の粒度等を均一にすることが重要です。
その次に、その業務の量・レベルを測定していきます。