外国人を雇用する際の注意点や、在留目的が業務内容と異なった場合の対応など。
最終更新日:2024.10.24
目次
問題の事象
採用を検討している外国人の在留目的を確認したところ、その在留目的が予定していた業務内容と異なることがわかりました。
この場合、どのような対応を取るべきでしょうか。
解説(基本的な考え方)
在留資格の確認がなぜ重要か
外国人が日本で働くためには、以下の条件が必要です。
●入国(上陸)時に与えられた在留資格の範囲内であること。
●定められた在留期間に限って活動すること。
そのため、企業が外国人を雇用する際には、次の二点を確認することが重要です。
●採用予定の業務が、その人の在留資格で許可されているか。
●その業務を行うのに必要な在留期間があるか。
外国人の在留資格や在留期間は、在留カードなどで確認できます。
従って、企業は、応募者から在留カードなどの資料を提示されない場合には、採用を見送るべきです。
トラブル回避できない場合のリスク
在留資格とは
日本で外国人が合法的に就労するためには、以下の条件のいずれかに該当する必要があります。
●永住者、その配偶者等、日本人の配偶者等、及び定住者
●就労を目的とした在留資格を持つ者
●就労を目的とした在留資格への変更が認められた者
●アルバイト(例:外国人留学生のアルバイトや外国人就労者の副業)
●ワーキングホリデー制度に基づく就労
特に問題となるのは主に2番目の条件です。
就労目的の在留資格には、
多岐にわたる分野があります。
在留資格では、許可された活動以外で収入を得る事業や報酬を受ける活動を行うことは禁止されています。
運用上のポイント
在留資格の変更は可能ですか?
外国人が現在の活動から異なる在留資格に該当する活動に変更する場合、在留資格変更許可の申請が必要です。
しかし、在留資格の変更は個人の自由な選択で行えるものではありません。
法務大臣が適当と認める相当の理由がある場合に限り、変更許可が下ります(入管法第20条第3項)。
変更を希望する場合は、一定の基準を満たす必要があり、これらの基準は法務省のウェブサイトで確認できます。
採用後、在留資格の申請が不許可になった場合の対応
採用が決まった後に在留資格の申請が不許可となると、その外国人は就労可能な在留資格を持っていないため、労働契約は成立していても就労できません。
この場合、労働関係法令に従って退職を促すか、可能でない場合は解雇手続きを行う必要があります。
労働契約締結時には、就労可能な在留資格の取得を条件とし、これが得られない場合は契約が成立しないとする条項を含めることが推奨されます。
不許可の場合でも、理由を入国管理局に確認し、状況改善後に再申請することが可能です。
また再申請時には、不許可の原因を克服する証拠や主張を提出する必要があります。
人材マネジメント上のポイント
外国人労働者の雇用に関するハローワークへの届出義務
事業主は、特別永住者や在留資格が「外交」または「公用」の外国人を除き、
この届出を怠ったり、虚偽の情報を届け出たりした場合、行為者個人及びその所属する企業に対して、最大30万円の罰金が科されます(雇用対策法第38条)。
この届出は、外国人労働者の適切な管理と保護、さらには労働市場の適正な機能維持を目的としています。
したがって、外国人労働者を雇用する企業は、これらの義務を遵守し、適時に正確な情報を届け出ることが重要です。