【計算方法あり】社員給料の内訳は?総支給額・手取り給の違いまで詳しく解説!
最終更新日:2024.10.24
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社労士:
森田 征
差引支給額(手取り)は、給与計算の内訳となる「勤怠」「支給額」「控除」の3つの項目を使って計算します。
目次
給料の内訳は3つ!
給与明細は、従業員が雇用契約に基づき毎月受け取る差引支給額(手取り)の詳細を示す重要な役割をもちます。
差引支給額を計算するためには、給与計算の内訳となる「勤怠」「支給額」「控除」の3つの項目について理解する必要があります。以下でその項目について簡単にご紹介します。
勤怠
ここでは、従業員の出勤日数、欠勤日数、残業時間などが記載されます。これらの情報を正確に管理しておくことは、実際の労働時間に基づいた正確な給与計算を可能にします。
支給
支給額には、基本給、残業手当、通勤手当、家族手当など、従業員に支払われる各種手当が詳細に記されています。
基本給は従業員の年齢、勤続年数、職種、技能に基づいて決定され、これが賞与や退職金の基礎を形成します。手当の支給は会社の就業規則や賃金規定によって異なり、特定の資格取得に対する手当や一時金を支給する場合もあります。
控除
給与から差し引かれる控除項目には、社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険など)と税金(所得税、住民税)が含まれます。
これらの控除は、従業員と会社が共同で負担する公的な制度や、所得に応じた税金の支払いを反映しています。社会保険は、病気やケガの治療、高齢者への年金支給などを保障するためのもので、税金は国や地方自治体が徴収し、公共サービスの資金として用いられます。
給与明細を理解することは、従業員が自分の給与の構成要素を正確に把握し、将来の生活設計を行う上で非常に重要です。ここからは具体的な記載内容について説明していきます。
1:勤怠
勤怠には、従業員の出勤日数、欠勤日数、残業時間などが記載されます。これらの情報を正確に管理しておくことで、実際の労働時間に基づいた正確な給与計算を可能にします。
勤怠には、具体的に以下のような情報が含まれています。
・出勤日数: 実際に働いた日数。
・欠勤日数: 仕事を欠席した日数。
・残業時間: 法定労働時間を超えて働いた時間。
・休日出勤: 休日に働いた時間。
2:支給
給与計算における「支給」とは、従業員が労働の対価として雇用者から受け取る金額全体を指します。具体的には、基本給、各種手当、残業代など、労働契約に基づく支払いの総和です。この支給額は、従業員の勤務状況、勤続年数、職種、技能、そして就業規則や賃金規定に応じて変動します。
基本給
出勤日数に応じて計算されます。全日出勤の場合、満額が支給されます。基本給は、従業員が定期的に受け取る給与の基盤となる部分です。この金額は、通常、従業員の職位や経験、勤続年数に応じて定められ、毎月一定です。
残業手当
法定労働時間を超えた労働に対して、残業手当が支払われます。
休日出勤手当
休日に働いた場合、通常の日給に加えて追加手当が支給されることがあります。手当は、基本給に加えて支払われる追加給付です。通勤手当、家族手当、残業手当など、従業員の勤務条件や個人的な状況に応じて支給されます。
これらの手当は、特定の条件を満たすことで得られるものであり、場合によっては税制上の優遇措置を受けることがあります。
3:控除
給与計算における「控除」とは、従業員の支給額から法律や契約に基づき差し引かれる金額の総称です。これには主に社会保険料や税金などが含まれます。
社会保険料の控除
社会保険料は、従業員と雇用者が共同で支払うもので
・介護保険(40歳以上の従業員が対象)
・厚生年金保険
・雇用保険
・労災保険
などがあります。これらの保険料は、従業員の給与から自動的に差し引かれ、国や自治体へ納められます。たとえば、健康保険や厚生年金保険料は収入に応じて決まり、従業員と雇用者が半分ずつ負担します。
税金の控除
所得税と住民税が主な税金の控除です。所得税は、国が課する税金で、所得が多いほど高い税率が適用される累進課税です。住民税は、居住地の自治体が課す税金で、前年の所得に基づいて計算されます。これらの税金は通常、給与から源泉徴収され、雇用者が従業員に代わって国や自治体に納付します。
その他の控除
財形貯蓄や社内預金、従業員持ち株会など、従業員が参加を選択した福利厚生プログラムへの拠出金も給与から控除される場合があります。これらは将来の財産形成や節税に貢献するもので、従業員にとって有利な条件で提供されることが多いです。
控除額の確認と管理
給与明細にはこれらの控除額が明記されており、従業員は自身の手取り額だけでなく、どのような項目がどれだけ差し引かれているかを確認することが重要です。これにより、自身の実際の収入と支出を正確に理解し、財務計画を立てる際の参考にすることができます。また、年末調整や確定申告を通じて過剰に徴収された税金を還付申告することも可能です。
【注意】アルバイトと正社員の計算は別!
アルバイトと正社員の給与計算は、基本的なフレームワークは共通していますが、細かな点でいくつかの違いがあります。給与明細は、勤務時間、給与の支給額、控除額などを詳細に記載した文書であり、雇用形態に関わらず、すべての従業員に対して発行することが法律で義務付けられています。これにはアルバイトも含まれ、彼らの給与明細には「勤怠」、「支給」、「控除」という三つの主要な部分が含まれます。
給与明細の基本要素
・勤怠: 勤怠情報は、実際に働いた日数や時間を含み、これが給与計算の基礎となります。正社員の場合、月給制で固定された給与が一般的ですが、アルバイトは時給制であり、勤務時間に基づいて給与が算出されます。
・支給: 支給額には、基本給、時間外手当、深夜手当、交通費などが含まれます。正社員は月給に加えて、賞与やその他の福利厚生が考慮されることもありますが、アルバイトの支給は主に時給とこれらの手当で構成されます。
・控除: 控除額には、所得税や社会保険料などが含まれ、これらは給与から差し引かれます。アルバイトでも、収入が一定額を超えると、所得税が課税されるため、注意が必要です。特に、アルバイトが年収103万円を超える場合には、所得税が発生します。
注意点
・割増賃金: アルバイトに対しても、正社員と同様に時間外、深夜、休日労働に対する割増賃金の支払いが必要です。労働時間が法定の枠を超えた場合、適切な割増率を適用して給与を計算する必要があります。
・税金と社会保険: アルバイトの年収が103万円を超える場合、所得税が課税される点に注意が必要です。また、勤務条件によっては社会保険の加入が必要になる場合もあります。
給与計算を行う際は、就業規則や賃金規程、勤怠管理の書類を確認することが重要です。これらの書類は、給与の計算方法や労働条件を理解するために不可欠です。給与明細を作成する際には、これらの基本要素と注意点を考慮して、正確な計算を心掛けましょう。
以下記事では「アルバイトの給与計算」について解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
個人で難しい場合は「計算代行」も選択肢に!
給与計算の代行は、専門家である税理士や社労士への依頼することができます。給与計算には所得税、住民税、社会保険料といった多くの要素が関わってくるため、これらを適切に処理するためには税法や労務法に関する専門的な知識が求められます。
税理士は主に給与計算における税関連の業務を、社労士は労務管理全般と社会保険料の計算を担当することができます。しかし、特定の業務、例えば年末調整は税理士の専門領域になるため、業務の内容によって依頼先を選ぶ必要があります。
給与計算の代行を利用することで、企業は複雑で専門性が高い給与計算業務を正確に行うことができるだけでなく、労務トラブルのリスクを減らすことが可能になります。
これにより、社内で給与計算以外の業務に集中できるため、多くの企業にとって有効な選択肢となります。重要なのは、代行を依頼する業務の範囲を明確にし、それに適した専門家を選ぶことです。
さかえ経営では、東京エリアの企業(200〜1,000名規模)における、給与計算(労務)業務のサポート・代行を行っています。
給与計算のやり方や、計算代行(アウトソーシング)をご検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。
給与明細の「手取り」の計算方法について知りたいです。