【社労士が教える】給与計算は内製化すべき?メリットや内製化の注意点まで解説!
最終更新日:2024.10.24
目次
そもそも「給与計算」とは?
給与計算業務とは、従業員に対して支払う賃金の計算のことです。これには、勤務状況や各種手当の合計から給与の総額を求める作業が含まれますが、単に金額を算出するだけではありません。
給与から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料や所得税、住民税などの税金を差し引いた手取り額の計算も行います。
通常、この計算は月に1回実施され、給与計算ソフトを利用して自動化している企業も多いです。
給与計算は、従業員への適切な賃金支払いだけでなく、税金や社会保険料の正確な計算と納付を通じて国の事務を代行する重要な業務でもあります。そのため、支給金額の誤りや支給遅延などがないよう、正確な作業が求められます。
下記記事では「給与計算」について詳しく解説していますのでこちらもあわせてご覧ください。
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給与計算“内製化”のメリットとは?
1:コスト削減できること
給与計算の内製化は、企業の経費削減に大きな効果をもたらします。
外部委託費用が不要となるため、財務面での負担が軽減されるのです。この利点は特に中小企業で顕著に現れます。多くの中小企業では、アウトソーシング費用が経営を圧迫する要因となっているからです。内製化によりこうしたコストを抑制することで、より効率的な経営が実現可能となります。結果として、企業の財務体質が改善され、長期的な成長につながるでしょう。
出典:『2023年版 中小企業白書・小規模企業白書|概要案』
2:情報漏洩のリスクを減らせること
内製化による給与計算は、データセキュリティの観点からも大きな利点があります。
給与情報や従業員の個人データを社内で集中管理することで、外部への情報流出リスクを最小限に抑えられるのです。外部委託の場合と異なり、機密性の高いデータを社外に提供する必要がなくなるため、セキュリティ面での不安が大幅に軽減されます。
結果として、企業は自社内でのデータ管理体制を強化し、重要情報を確実に保護することが可能となるでしょう。
3:柔軟性の向上:迅速な対応が可能に
給与計算の内製化がもたらす重要な利点の一つに、業務の柔軟性向上が挙げられます。
給与関連の変更や修正が必要となった際、内製化された環境下では即時対応が可能となるのです。外部委託の場合に生じがちな時間的遅延も最小限に抑えられるため、迅速な対応が実現します。こうした即応性の向上により、企業は変化する状況に柔軟に適応し、効率的な業務運営を行うことができます。
4:業務から一元管理できる
給与計算を内製化することで、人事・労務業務と給与計算を一元化し、効率性と情報の一貫性が飛躍的に向上するのです。
この統合により、企業は業務フローを最適化し、標準化を進めることが可能となります。結果として、高品質な業務遂行を維持しつつ、運営効率を大幅に改善できるでしょう。このように、内製化は単なる給与計算の手法変更にとどまらず、企業全体の業務プロセスを進化させる契機となるのです。
内製化することの「注意点」
業務タスクの削減や効率化が期待される給与計算の内製化ですが、便利な反面注意しなければならない点もあります。
注意点1.初期投資と運用コストが発生してしまう
給与計算の内製化には、専用の給与計算システムの導入や担当者の育成など、初期投資が必要です。また、システムの運用やメンテナンス、担当者の継続的な教育にもコストがかかります。これらの費用を考慮し、内製化の費用対効果を十分に検討する必要があります。
注意点2.業務負荷が増加してしまう
内製化することで、給与計算業務を担当する社員の業務負荷が増加します。特に中小企業では、他の業務と兼務することが多く、繁忙期には対応が難しくなることがあります。業務の効率化や担当者の負担軽減を図るための工夫が求められます。
注意点3.業務が属人化してしまう
給与計算業務が属人化しやすくなることもデメリットの一つです。担当者が退職や休職した場合、業務が滞るリスクがあります。業務の標準化やマニュアルの整備、複数の担当者による業務の共有が重要です。
注意点4.最新の情報(法改正など)への対応がマスト
給与計算に関する法改正に迅速に対応するためには、最新の法規制情報を常に把握し、システムや業務フローを更新する必要があります。法改正に対応できない場合、法令違反となり、企業にとって大きなリスクとなります。
まとめ
給与計算の内製化には多くの利点がありますが、同時に課題も存在します。成功のカギは適切な対策を講じることにあります。最適なシステム導入、担当者育成、業務フロー整備、法改正への迅速な対応が重要です。これらの要素を押さえつつ継続的な改善を行うことで、企業の生産性向上と従業員満足度の向上が期待できるでしょう。内製化は企業の成長を支える重要な戦略となりうるのです。
内製化が難しい場合は「アウトソーシング」も
給与計算の内製化には多くの利点がありますが、初期投資や業務負荷の増加、法改正への対応など、さまざまな課題も伴います。これらの障壁を克服するには、専門知識と経験が不可欠です。
もし内製化に困難を感じる場合は、アウトソーシングサービスの検討も有効策の一つと言えます。