管理職から時間外手当を請求された場合、支払う必要があるのか?
最終更新日:2024.10.24
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管理職から時間外手当を請求された!支払う必要はある?
管理職から時間外手当を請求されました。
管理職には、他の社員よりも多めに給与を支払っていますが、それでも支払う必要があるでしょうか。
労基法の「管理監督者」に該当しなければ、時間外手当等を支払う必要がある
まずは当該の管理職社員が労働基準法の「管理監督者」に当たるかどうかが問われます。
管理監督者かどうかは、
、それらがすべてクリアになった場合にのみ認定されるため、裁判等になった場合、実際に該当するのは難しく、管理監督者性を認められた例はごく少数です。
当該の管理職社員とは時間外手当支給の除外要件である管理監督者の要件に該当しなければ、時間外手当等を支払う必要があるかと思います。
対応としては時間外手当を適切に支払い、その後管理職からの降格等を視野に入れた方が望ましいです。
管理職でも労基法上の「管理監督者」に該当しない判例ばかり
管理監督者性を否定した例は枚挙にいとまがありません。
ファーストフード店の店長の管理監督者性を否定した日本マクドナルド事件(東京地裁判平20・1・28労政953号10頁)はマスコミでも大きく取り上げられ、会社が管理職として扱っていた社員が労基法上の管理監督者に該当しないという
が社会的に問題となりました。
管理監督者性を肯定した例として、
が、ごくわずかです。
管理職の要件を法に合わせて定義、また時間外手当を役職手当に含めるなどを検討
アプローチとしては2つ挙げられます。
一つは、管理職の要件を労働法に照らし合わせて明確に定義することです。誰にも管理されないことが最低限必要です。
二つ目は、管理職等に対して役職手当などの名目で多めに給与を支払っているのであれば、その部分を時間外手当相当分と定義することは不可欠です。
この場合、実際の時間外労働分がその時間外手当相当分を超えてしまう場合は、超えた部分に関して別途支払う必要がありますが、時間外手当の抑制にはなるかと思われます。
ただし、
がありますので注意してください。
管理職として経営を担っていることを周知徹底
管理職として経営を担っていることを周知徹底されることが必要だと思われます。
仮に当該管理職社員が、
そのような職責を全うすることができない、またそのような職務を遂行できる能力がないと判断するのであれば、その人は当社の管理職として適当でないということ
として割り切る必要があるかと思います。
等級制度構築の際に、管理者と専門職のキャリアパスを明確にする
等級制度の適切な構築が必要になります。
また、本来、管理監督者でないものを無理矢理、管理者として認定しようとする傾向がまだ残っていますが、等級制度の構造が年功的になってしまうリスクは勿論、場合によっては、すべての管理者要件が否認されてしまう可能性があります。
等級制度構築の際に、管理者と専門職のキャリアパスを明確にすると同時に、当社における管理者とは何かということを十分に検討することが求められます。