飲酒運転による免停の場合の懲罰は、懲戒や解雇?ポイントは業務との関連性
最終更新日:2024.10.24
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運転手が飲酒運転で免許取消処分に。どのような対処が妥当?
当社の従業員が業務終了後に仲間数人で飲み会を開き、アルコールを摂取したにもかかわらず自家用車で帰宅し、その途中で事故を起こし、免許取消処分となりました。
その従業員は運転手であり、免許なしでは現在の業務を遂行できません。
その場合、どのように対処すればよいでしょうか。
私生活の非行ですぐに解雇はNG。配置転換を検討
近年において、飲酒運転に対する社会的な評価が厳しいものになっていることは周知のとおりです。本来であれば、解雇したいところです。
しかし、それが私生活上の非行である以上は、懲戒処分を行うためには、
であると言えます。
まずは
があるかと思います。その結果、程度にもよりますが、給与が下がることも問題ありません。
であると言えます。いきなりの解雇は若干問題があるといわざるを得ません。
従業員の業務が「運転」に関わる場合は、重い処分が科される傾向
京王帝都電鉄事件(東京地決昭61・3・7労判470号85頁)は、バスの運転手が勤務終了時後に飲酒し、自家用車を運転して交通事故を起こし、歩行者を死亡させた事案において、
と述べた上、このような運転士がいること自体が会社の信用を著しく害するものであるとして、懲戒処分を有効としました。
このように一般的には、
があります。
免許取り消しが続く場合は業務が遂行できないため、解雇もありうる
業務上、必要不可欠な免許や資格が取り消されてしまった場合には、
でしょう。
ちなみに、取り消された社員が携わっていた業務と、その取り消された免許に全く関連性がない場合には、業務に支障がないわけですから解雇は無効になります。
まずは
があります。社員に対して、周知・喚起の意味合いも込めて、十分な記載が必要だと思われます。
一時的な免許停止処分なら、まずは配置転換もしくは休職処分が妥当
日頃のコミュニケーションを通じて、飲酒運転を警告するようにすることが必要だと思います。
そのような事態になった場合は、
することになるかと思います。
また、免許取消処分まではいかずとも、免許停止処分場合も、業務に著しく支障をきたすことが考えられます。
といえます。免停の場合には、他の業務に配置転換して時間の経過を待つのもよいでしょうし、会社の規定により休職処分とすることも考えられます。
人材マネジメント上のポイント
ワークライフバランスが叫ばれている中、従業員の生活は会社だけでなく、会社外の生活も重視する傾向になることは非常に良いことですが、同時に業務外でのトラブルが多くなります。
人材マネジメント上の対応としては、業務外におけるトラブルについては業務に対する影響がなければ、何も講ずることができないことが前提になりますが、何かしらのストレスを抱えており、それを解消することによって解決できることも多々あります。
それには、
です。 例えば、
などが挙げられます。また、1on1等を通じて、プライベートの悩み等もキャッチアップすることも重要になるかと思います。