社員が感染症の避けるために人事異動を求めた時の適切な対応
最終更新日:2024.10.24
目次
新型コロナウイルス感染を避けるための異動願い。聞き入れる必要はある?
新型コロナウイルス感染症のり患を恐れて、さらに感染者が少ない地域への異動を要求してきた場合、どう対応すればよいでしょうか。
異動請求等に応じる義務はありません
ただし、それをもって、何らかの懲戒処分を科すことについては、その懲戒処分の該当性や相当判断について労働者に有利な判断があり得るため、慎重な判断が必要です。
今回の異動請求で従業員に懲戒処分を科すことは難しい
企業が、労働者に対して積極的に異動措置をなすことを義務づけられることは極めて例外的にしか認められていません。
たとえば、阪神・淡路大震災の際に、他の従業員の大半が震災後間もない時期に出勤している中、14日間の無断欠勤があったことに対する懲戒解雇についても、災害時の特殊性を強調して懲戒解雇が無効とされている裁判例もあります(長栄運送事件・神戸地決平7・6・26労判685号60頁)。
感染対策を会社が行っているのに、職場離脱した場合は懲戒処分も可能
職場離脱や欠勤については基本的に、
といえます。
ただ、優秀な人材の散逸や今後の採用に困難を来す懸念を考えると、特に、妊婦や、新型コロナウイルス感染症による重症化のリスクが高い高齢従業員に対しては、在宅勤務等で対応するか、休業で対応することも検討しておく必要があります。
高齢者や妊産婦に対する配慮は、十分に行うこと
特に
妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、
主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません(本措置の対象期間は、令和2年5月7日~令和4年1月31日です。)
新型インフルエンザ等対策特別措置法において新型コロナウイルス感染症を適用対象とする暫定措置の期限を踏まえて設定されています)。
人材マネジメント上のポイント
今回のような突発的な依頼に対して、中々、スムーズに対応できないのが現状だと想定されます。
また、必要上に対応する必要がないのも事実です。しかし、
そのためには、適切な人員数の把握をすることにより、人材の突然の欠員に対しても、スムーズに対応することができます。適正な人員数の把握方法は様々ありますが、代表的な手法としては、商材・アイテム、顧客セグメントごとに売上・生産量と労働時間の回帰分析が挙げられます。
1人当たり(1日8時間)ごとのアウトプットを算出することにより、必要な人員数を算出することにより、欠員が出た場合においては、適切な人数の補充が他部署から可能になります。
また、
単なる人数だけではなく、業務上必要なレベルが可視化されているため、より効果的に行うことができます。また、それらの情報を元に、採用においても、その人数・レベルに沿った人材の募集も可能になります。