テレワークでの業績評価に悩む企業へ:公平で公正な評価制度の構築方法
最終更新日:2024.10.24
目次
人事評価が難しいテレワーク。生産性を生む働き方と、公正な評価構築のコツは?
週2日程度でのテレワークを導入しましたが、働いている状況が見えづらく人事評価が難しくなっています。
例えば週2回のテレワークでの進捗はほとんどないが、残り3日の出社日にフル稼働し、業績や成果を伸ばす社員もいます。
テレワークのシフトによる出社制限から、管理職も部下とのコミュニケーションを取らず、提出された業務報告書(日報や週報)主体で仕事ぶりを把握しているようです。
従業員が目標設定と成果報告を行い、公正な評価が行われる仕組みづくりを
新たに「テレワークに適応した評価制度」の構築が求められているかもしれません。
なぜなら従来の評価制度は、社員の出社を前提としているからです。
テレワークや在宅勤務で出社をしないことが含まれる場合は
②評価する側(人事部やマネジメント層)が公平で公正な評価スキル
を持っていることが必要です。
テレワーク導入が一部であれば見直しは必要ありませんが、導入の拡大を予定していたり、テレワークに対する評価や勤務の不安・不満が聞こえるようであれば、「テレワークに適応した評価制度」への見直しを検討するとよいでしょう。
テレワークに適応した評価制度を構築するにあたっては、まず、現在の人事評価の項目でテレワークでは評価できない(評価しにくい)項目、テレワークでも評価できる項目に区分します。
この時にはそもそもテレワークが原因ではなく従来から適正な評価ができてない場合もあることを考慮しなければなりません。
コミュニケーション不足から生まれる組織力低下に注意
テレワークの想定されるトラブルとは、「正当な評価が受けられない」「上司(部下)とのコミュニケーションが取れないまま評価されている」こともありますが、やはり会社の財産である従業員の士気低下が起こり人材の流出を招いたり、業績の悪化が起こることもあります。
「週2回のテレワークでの進捗がほとんどない」とありますが、この勤務態度を見過ごしているということはサボりを容認していることにもなり、全体的な生産性の低下にもつながる可能性があります。
また、管理職・部下間のコミュニケーションの低下だけではなく、チーム内・同僚などの仲間レベルでのコミュニケーションも低下します。
仲間意識が低下したり、仕事のコツや知恵の共有、会話でカバーされていた不平不満のグチレベルの解消などから組織力の低下も否めません。
社内コミュニケーションだけではなく、取引先とのコミュニケーションもとりづらくなります。
取引先相手のルール(外部との対面一切禁止など)に従わざるを得ない場合もあります。
テレワークでも働きやすい就業規則を作成しましょう
全体的なテレワークを導入でなければ、就業規則を変えることはないかもしれません。
ただしテレワーク導入にあたり、評価される側の「正当な評価が受けられない」不満と評価する側の「勤務実態が見えない」という不満を解消することが求められます。
業績評価の他にも、在宅勤務の環境面(在宅勤務をするスペースがない)や費用負担(例えば電気代が増えた)や「在宅なのでエンドレスで仕事をしてしまう」といった時間外勤務、メンタルヘルスの問題も併せて解消し、働きやすいルールつくりを行いましょう。
どのような問題・不満があるのか広く意見を収集し、解決できることからルールに組み入れます。
収集した問題・不満も公表し、どれから解決するか、反面解決できない問題には「〇〇の問題があって解決できない」という理由も見える化することで、テレワークへの安心に代わります。
業績や成果が判断できるよう業務プロセスの見える化も必要
例えば「報告・連絡・相談ができている」という項目があるとすると、交代制テレワークでは「報・連・相」がしにくいこともありますが、テレワーク下でどのように「報・連・相」を受けるのかを考えずに「できていない」と評価することは避けてください。
事例の一つ目の事象には、テレワークでは成果を出していないが、出勤日にフル稼働し業績を上げているとあります。
人事評価では、テレワーク・出勤日を分けて評価しなければならないということはないと思います。
勤務態度・勤務成績でどうなのかを評価します。
もしテレワークでも勤務成績を上げてほしいのであれば、どうすれば勤務成績を上げることができるのかを本人からヒアリングしてください。
事例の2つ目には業務報告書の提出で仕事ぶりを把握しているとありますが、一方的に書面を見て判断するのではなく、「工夫した点」「困っている点」(「よくできた点」などの褒め項目も)などを聞き、上司がフィードバックするといった、どのようにすれば双方向のコミュニケーションが実現するかの工夫が必要だといえるでしょう。
Web会議システムを導入している企業は多いと思いますが、雑談程度のコミュニケーションもできるよう、チャットツールの導入も検討します。
また「テレワークで評価しにくい」ということは、個々に仕事の進め方を任せているのでしょうか。
評価制度や就業ルールの制定の他にも、業績や成果が判断できるよう業務プロセスの見える化も必要かもしれません。
テレワークは、能力開発や人材育成がしづらい。ワークショップの実施なども視野に
テレワークの導入により、OJTによる教育の機会も減少しがちです。
業績評価への不安の他、能力開発や人材育成の観点も考慮します。
これにも一人一人のスキルを棚卸し、スキル習得項目と期日などを計画するとよいでしょう。
管理職の評価スキルについても、評価者向けの研修や評価のレベル合わせのワークショップなどの教育を行い、公平で公正な評価スキルを維持させましょう。
また、従業員の業務を日々、管理することが必要になります。
日報等による進捗の管理により、今どのくらいの作業・業務量があるかどうかを把握し、優宣順位等も把握して、時間外の必要性等を従業員に一任するのではなく、管理者等も把握することができるような環境づくりも必要になってきます。
そのような業務把握を実現した次のステップとして、生産性向上に向けた取り組みや在宅勤務の導入・浸透等につなげていくことが望ましいと考えています。
いずれにしても、業務の量・内容の把握を第3者と共有することによる効果は非常に高く、特に管理者の動きが重要になってきます。
そのために、残業や深夜労働等を勝手に認めるのではなく、必要性等を踏まえて、判断していくことが必要になります。