不採用通知後の親からのクレームがしつこい!メール・電話での適切な対応は?
最終更新日:2024.10.24
目次
ご両親から「どうして子どもを採用しなかったのか」聞かれる
採用活用時、面接を実施した結果、採用を見送ることにしました。
しかし、その不採用とした応募者のご両親から「どうして子どもを採用としなかったのか、理由を教えてほしい」としつこくなんども電話がかかってきます。
どのように対応したらよいでしょうか。
「不採用」とした理由は開示しなくてはいけない?
「モンスターペアレント」という言葉が社会的に広まっていますが、学校だけでなく企業に対しても不採用時にクレームを入れるといったような、少し前までは考えられなかったような事例を聞くようになっています。
しかし、そもそも企業が採用活動において、その採用の選考を行った結果として「不採用」とした場合、その「不採用」とした理由を開示しなくてはいけない義務があるのでしょうか。
反感を抱かれないよう注意しつつ、毅然とした対応が必要
今回のケースでは、「不採用」とした本人ではなく、応募者のご両親からの不採用理由に関するクレーム対応ですが、しかし適切な対応をせず、いらない反感を抱かれれば、事態が大きくなったり、予想外の事態に発展しかねません。
また、企業としてのイメージ等を考慮すれば、全く対応しないということも避けた方が賢明ですので、きちんとした対応を取りながらも、毅然とした対応をとることが重要です。
企業に採用決定の理由を開示する義務は無い
企業には法令等の規定に反しない限り、広範な採用の自由が認められます、採用の自由には、採用選考にあたってどの事情を重要視するのか、また採用決定の理由を公開しないという自由も含まれていると解されています。
裁判例でも採用決定の理由を開示しない自由が認められています。また、各企業が採用にあたりどのような事情を重視するかについて、広い採用が認められているので、もし不採用の理由を開示しなければならないとすると、このような自由な意思異形成や判断過程が阻害されてしまいます。
このことから企業には「採用決定の理由を開示しない自由」が認められていることになります。(慶応病院事件 東京高判・昭50・12・22)
したがって、企業には不採用になった理由の開示義務はありません。
さかえ経営では、給与計算のアウトソーシング、社員間のトラブル解決など労務に関するあらゆる問題解決をサポートします。
「不採用の理由開示は行っていない」と伝える
不採用になった理由の開示義務はありませんので、本人はもちろん、ご両親からの問い合わせに対して開示する必要はありません。
実際に会う機会を作ってしまうと、そのご両親に必要以上の期待を持たせてしまい、トラブルに発展しかねません。
また、「ご本人様以外の方からの問い合わせについてはお答えしかねます」とお伝えすることも、本人からなら問合せなら開示してくれる、という期待を持たせてしまうことが想定されるので、望ましくないでしょう。
したがって、企業イメージを考慮したうえで簡単にメールで返信する場合でも、総合的に判断して下した結果であること、当社では採用不採用の理由開示については行っていないこと、を伝え、これ以上の回答は致しかねるとして、余計な期待を抱かせず、毅然とした対応をとることが無難ではないかと思われます。
人材マネジメント上のポイント
採用時において、どのような人材を求めているかどうかを明確にし、その要件に合致した人材を採用することが求めれます。
しかし、職務経歴書等から確認することが通常ですが、中には誇張表現等があり、的確に反映できない可能性があります。
そのため、身元調査は一番、近いと思われますが、難しい側面も多々あります。
解決の方向性としては、以下の2点かと思われます。
1)求める人材像を行動特性・取り組み姿勢から可視化すること
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。
この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場
合があります。
また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけに働いているのかという本人の志向性も重要
になってきます。
2)従事して欲しいジョブを明確にすること
欠員にせよ、増員にせよ、採用予定者が従事することが予定されている業務等を明確にすると同時に、その到達レベルを可視化して
いくことにより、その内容に沿った質問等をすることが可能になります。