内定者のSNS投稿が炎上!企業イメージを守るための内定取り消しは可能?
最終更新日:2024.10.24
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SNSで差別発言をして会社にも影響が。対象者の内定取り消しは妥当?
内定者がX(旧Twitter)による投稿で差別的問題発言をしたところ瞬く間に拡散し、いわゆる「炎上」状態になっているそうです。
当社の内定者であることもX(旧Twitter)上で拡散されているようで、会社には抗議の電話が殺到しています。
内定取り消しを考えていますが、可能でしょうか。
内定取り消しは、客観的合理的な理由があり、社会通念上妥当な場合のみ可能
採用内定段階のことを法的には「始期付解約権留保付労働契約の成立」(大日本印刷寺家・最判昭54・7・20)と表現し、内定取り消しの法的性質は解約流保険の行使です。
その解約流保険の行使が許される場合とは
としています。
つまり、SNSでの発言が炎上したことを理由とした内定取り消しは、「解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認することができる場合」にのみ、可能となります。
私的な言動は本来企業と関係ないが、会社への不利益度合で判断
投稿内容が、企業秘密や研修内容を暴露するといったような秘密情報を漏洩した場合には、業務に関連しますが、今回のケースでは、内定者によるTwitter上の問題発言のような投稿は、その投稿内容に問題があったとはいえ、基本的には、SNSへの投稿は個人のプライベートの問題であり、私生活に属する事柄といえます。
個人の私生活上の飛行に対する処分については、
しかし、労働契約関係に随伴する信義則から、「従業員の職務外の私的な言動といえども、それが
(横浜ゴム事件・最三小判昭45・7・28の地裁判決(東京地判昭42・7・17)判事部分」とされています。つまり、TwitterといったSNSへの投稿が「炎上」した場合の内定取り消しは、当行による悪影響がどれだけ生じたかといった観点から客観的合理的理由があるかどうかを判断することになります。
内定取り消しができる4つの客観的合理ポイント
内定取り消しができるかどうかの際の客観的合理的に考慮すべき点は、以下の点でしょう。
1.内定先の企業名が明示されており、企業イメージに悪影響が生じた。
2.投稿内容と業務内容の関連性がある。
3.不買運動や抗議の電話・メールなどにより損害を被った。
4.内定時誓約書等でSNS利用時の注意喚起を行っていた。
特に、企業で内定時研修行い、SNS利用の注意を促し、誓約書などの文書を得ていた場合には、内定者がこれを破ったことになるので、処分がしやすくなるでしょう。 さかえ経営では、給与計算のアウトソーシング、社員間のトラブル解決など労務に関するあらゆる問題解決をサポートします。
内定取り消しの可否は裁判官によって異なる。内定辞退に向けた条件交渉を
内定者によるSNSによる投稿により、実際に企業イメージが損なわれる等の損害が生じた場合、上記客観的合理的に考慮すべき点を考慮し検討したうえで、内定取り消しの可否を事案に応じて、判断していくことになります。
ただ、内定取り消しが有効か否かの判断は、訴訟の場合には裁判官の判断によって異なるため、実務的には、退職勧奨と同様に支度金の提示を行うなど内定辞退に向けた条件交渉を行うケースが多いでしょう。
と考えられます。
一方、
していくこととなります。
SNS研修などを取り入れ、トラブルを未然に防ぐ人材マネジメントを
組織風土悪化の問題は、一長一短には可視化できない問題となります。
しかし、ゆっくりと変化することもまた事実です。苦情処理機関等の通り一遍のメンタル的な対応では不十分な場合もあります。
人材マネジメント上の対応としては、業務外におけるトラブルに対して、その変化にいち早く気付くということが重要になります。
それには、従業員の動向を日々、チェックすることが重要になります。それには、月並みかもしれませんが、
です。
例えば、業務の進捗、周りとのコミュニケーション状況などが挙げられます。また、1on1等を通じて、プライベートの悩み等もキャッチアップすることも重要になるかと思います。
また、
かと思います。