社員のミスで会社の備品に損害を与えた!社員に賠償責任はある?
最終更新日:2024.10.24
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社員が無断で在庫を処分。損害賠償請求や処分を行いたい
ある社員が会社の手続きを取らずに、無断で在庫を処分をしました。
会社としては、損害賠償は勿論、何かしらの処分を行いたいのですが、可能でしょうか。
故意、または重大な過失の場合、損害賠償額が算定できれば可能
従業員のミスで会社に損害が発生する場面は起こりえます。
労働基準法では、
場合があります。
ただし、この場合、従業員の責任性や地位などを考慮して、信義則上相当と認められる限度でしか損害賠償請求することはできないなど、いくつか注意すべき点があります。
社内手続きが周知されていると判断できれば、一定程度の処分は可能であると考えられますが、
損害賠償の請求の基準としては、
「故意、または重大な過失」があるか、
また損害賠償額が算定できるのか
いう点を考える必要があります。
損害賠償の減額など、諸般の事情を考慮するのが通例
「ガリバーインターナショナル事件」(東京地裁2003年12月12日)は、中古車販売会社の店長が、車両を販売する際には代金が入金されてから納車するのがルールであることを知りながらも、取引先に騙されて入金が全くない段階で車両を引き渡し、15台相当の額の損害を生じさせてしまった事件です。
この事件では、
が下されました。
このように、損害賠償の減額の判断は労働者側・使用者側双方の事情に応じて異なってくるのが通例です。
就業規則に懲戒規定の内容を記載する必要がある
就業規則の懲戒規定等に、
「従業員は、故意または過失によって会社に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならない。ただし、過失によるときは、事情により責任が軽減または免除されることがある」
旨を記載する必要があります。
従業員の過失などにより会社に損失が生じた場合、損害賠償請求をすることは可能ですが、相当と認められる限度でしか請求できません。
賃金からの天引きは、賃金全額払いの原則(労基法24条1項)に違反するものとして、後から天引き額の支払いを余儀なくされることがありますので、
をとるのが望ましいと思われます。
例え従業員の過失であっても、全ての責任を労働者に負わせるべきではない
会社から従業員へ損害賠償を請求することは可能ですが、
されています。
この
だ、という考え方です。
また、責任を制限する程度については、事業の性格、規模、労働者の業務内容、労働条件、施設の状況、勤務態度、加害行為の態様、その予防等に対する使用者の配慮など、労働者側・使用者側双方の様々な事情を考慮すべきであると考えられています。
人材マネジメント上のポイント
組織風土悪化の問題は、一長一短には可視化できない問題となります。
しかし、ゆっくりと変化することもまた事実です。苦情処理機関等の通り一遍のメンタル的な対応では不十分な場合もあります。
人材マネジメント上の対応としては、
になります。それには、従業員の動向を日々、チェックすることが重要になります。月並みかもしれませんが、管理者が従業員の動向を日々チェックすることが必要です。例えば、業務の進捗、周りとのコミュニケーション状況などが挙げられます。また、1on1等を通じて、プライベートの悩み等もキャッチアップすることも重要になるかと思います。また、
した方が良いかと思います。