通勤手当の不正受給が発覚!まずは故意によるものかどうかを確認して対処
最終更新日:2024.10.24
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通勤手段が届け出と違う社員がいる。通勤費の不正受給にあたる?
ある社員が、通勤手段として、電車とバスを利用すると届け出ているため、会社としては、その金額を支給していますが、ある時、バイクで通勤していることが判明しました。どのような対処をすれば良いでしょうか。
通勤費の支給は会社制度。就業規則で懲戒処分を定めることは可能
です。したがって、会社が社員の通勤手当の不正受給に対して、就業規則に服務規程やそれに違反した場合の懲戒処分規程を定めることは可能です。
通勤手当の不正受給が服務規律違反・企業秩序違反になることは明らかですが、懲戒処分を有効に課すためには、まず、
①あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定め、その内容を適用を受ける事業場の社員に周知させる手続がとられているか、
②当該社員の行為が就業規則上の懲戒事由に該当するか、
③懲戒権を濫用していないか等
の検討が必要です。
悪質性の区別が難しい。厳重注意や減給など軽めの懲戒処分が妥当
通勤手当の不正受給については、
ことに加えて、
ことから、
があります。あくまでケースバイケースということにはなりますが、悪質性の高い事案でない限り、初回の通勤手当の不正受給については、厳重注意にとどめるか、けん責、減給等の軽めの懲戒処分にとどめた方が無難なケースが多いものと思われます。
なお、支給要件の勘違いや単なる申告ミス等の過失による不正受給の場合、社員を懲戒解雇することは困難です。
通勤手当の支給制度を日頃から厳密に運用する必要がある
通勤手当の不正受給に対して重い処分を課すという方針をとるのであれば、虚偽の申告をした場合において、ある程度厳しい処分を下すと記載した懲戒規定の制定と、不正受給が発覚した場合の金銭返却等を義務付けた規定の制定が必要になります。
また、会社としても、
しておくべきです。
具体的には、
通勤手当の支給要件を明確に定める、
本人申告経路の合理性を申告時だけでなく定期的にチェックする、
定期券等のコピー提出を義務付ける
など、通勤手当の支給制度を日頃から厳密に運用する必要があります。
会社は、社員に対し、差額の返還を求めることができる
社員が通勤手当を不正に受給していた場合、実際に受給していた金額と本来受給できる金額の差額分は、社員が不当に利得した金銭ということになりますので、
賃金からの天引きは、賃金全額払いの原則(労基法24条1項)に違反するものとして、後から天引き額の支払いを余儀なくされることがありますので、
をとるのが望ましいと思われます。
人材マネジメント上のポイント
組織風土悪化の問題は、一長一短には可視化できない問題となります。
しかし、ゆっくりと変化することもまた事実です。
もあります。人材マネジメント上の対応としては、
になります。それには、従業員の動向を日々、チェックすることが重要になります。
例えば、業務の進捗、周りとのコミュニケーション状況などが挙げられます。また、1on1等を通じて、プライベートの悩み等もキャッチアップすることも重要になるかと思います。通勤手段のルールについて、もしかすると認識していないという可能性も考えられますので、使用における研修等も実施した方が良いかと思います。