服装が乱れている社員を懲罰にできる?身だしなみ規程違反への会社の対応
最終更新日:2024.10.24
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茶髪を改善しない従業員を解雇することは可能?
従業員の中に、これまで再三再四、茶髪をやめるように注意してきたにもかかわらず、全く改めない従業員がいます。
もはや改善の様子なしとして解雇したいのですが、可能でしょうか。
会社の顔となる職種以外は、茶髪を理由に解雇することはできない
業種によって身だしなみには規制があります。
労働者は労働契約の締結により合理的な規律に従う義務を負いますが、
とされていますので、茶髪というだけを理由に解雇することまではできません。
ポイントは「業務に与える影響」です。
接客や営業社員など、取引先等、会社の代表として社外の人に会う機会が多い場合などは、彼らこそが会社のイメージを世に浸透させる宣伝塔の役割を担っていると言えるので、彼らの身だしなみによって
と考えられます。
しかしながら、製造や間接部門など、社内の業務に従事している人は難しいかもしれません。その場合は、社風は勿論ですが、就業規則の懲戒規程の設定方法によるものだと思われます。
判例も、服装や茶髪、髭などを理由にした解雇は妥当ではないと判断
トラックの運転手が茶髪を理由に解雇処分された事件の裁判(東谷山家事件)や、「髭をそること」と服務規律で定められているにもかかわらず、それを無視し続けたタクシー運転手の口ひげに関する裁判(イースタン・エアポートモータース事件)など、
は多いです。
ただし会社にとって客や取引先に与えるイメージは重要です。「不潔」「不真面目」なイメージを与える従業員の身だしなみの乱れは、対外的なイメージダウンはもちろん、
があります。
また業務においても、乱れる可能性すらあります。
解雇は行き過ぎ。だが、就業規則に“身だしなみ規定”を記載しよう
「解雇」は行き過ぎと判断されますが、ある程度の規制や制裁は必要となるでしょう。
ただし、就業規則に身だしなみに関する規定を
「規制する事項」と
「違反した場合の制裁」とに明記し、整備しておく必要
があります。明記された規則違反ではなく、単に暗黙のルールに違反した程度のことで処分するのは、かえって余分な問題を発生させます。
しかし、どのような内容でも適用できる訳ではなく、
かと思われます。
例えば、飲食店従業員の髭は規程できますが、運転手などの髭は規程できないなどです。どの範囲が許されるなどは、社会の価値観や過去の判例等に依存されます。
身だしなみについての就業規則の規定例はコチラ!
どのような社内規定であっても、解雇することはできません。
です。
また、仕事ができないからなど、性別や職種、従事業務以外の要因を元に、社員間の取り扱いを区別することはできません。
職務上、身だしなみの規制が必要なら、以下のように就業規則にその旨を具体的に記載しておきましょう。
近年は社会的ルールは通用しにくい。従業員と服装文化を検討する機会を
服装等の乱れをなくすには、服装による業務に及ぼす影響を明確にする必要があります。
単に会社のルールだからという理由だと近年は中々通用しにくくなっています。顧客と接する機会が多い人は十分な理由になりますが、そうでない人については、社会通念上、妥当であればそれほど問題がないと考えるのが妥当であると言えます。
また、考え方によっては、会社・業務が好きであり、服装等の文化を変えていきたいという意識があるのかもしれません。
このような場合においては、頭ごなしに対応するのではなく、会社として、従業員と十分に話し合い、その結果として対応できるところは対応し、
ことも望ましいと考えています。