感染症に関する発表を行う際、従業員の個人情報の取り扱い方法は?
最終更新日:2024.10.24
目次
コロナウイルス感染した従業員の公表方法は?個人情報はどこまで守るべき?
社員にコロナ感染者および濃厚接触者が出ました。
社内外に公表する場合、どういった点に注意すればよいでしょうか。
個人情報を利用する際は本人へ通知し、同意なく第三者に提供してはならない
個人情報取扱事業者は、保有する個人データについて、原則として、本人に通知等している利用目的とは異なる目的で利用し、又は、本人の同意なく第三者に提供することは禁じられています。
しかしながら、法令に基づく場合(本法第 16 条第3項第1号、第 23 条第1項第1号)や、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に当たっては、例外として、本人の同意を得ることなく、目的外利用や第三者への提供が許され、これらの例外の適用も含めて対応することが可能です。
社内で個人データを共有する場合には、本人の同意は必要なし
社内公表をする場合の留意点としては、当該社員本人の同意を取ることが困難な場合でも、同一事業者内での個人データの提供は「第三者提供」に該当しないため、社内で個人データを共有する場合には、本人の同意は必要ありません。
また、取引先に情報提供をする場合の留意点としては、当該社員の個人データを取引先に提供する場合で、当該社員本人の同意を取ることが困難な場合、仮にそれが当初特定した利用目的の範囲を超えていたとしても、取引先での二次感染防止や事業活動の継続のため、また公衆衛生の向上のため必要がある場合には、本人の同意は必要ありません。
感染者の公表は、二次感染の発生を予防し、発生の状況・原因を明らかにするときのみ
新型コロナウイルス感染者の公表は、あくまで、二次感染の発生を予防し、感染症の発生の状況、動向および原因を明らかにするために必要があると認められたときに行われるものです。
したがって、個別具体的な事例に即して、提供するデータの項目および利用目的、安全管理措置等を考慮して対応する必要があります。
新型コロナウイルス感染者が、本人の知らないところで個人情報が晒され、いわれなき差別や偏見にあわないためにも、情報提供のルールを従業員に周知しておくことが、不安や不満をもたせないために必要といえるでしょう。
感染情報は“要配慮個人情報”。不当な差別や偏見等の不利益が生じないよう注意
新型コロナウイルス感染拡大を受け、事業者が個人データを取扱う機会が増えました。
その状況下で、感染情報や検査結果は、“要配慮個人情報”であり、本人への不当な差別や偏見等の不利益が生じないよう、取扱いに特に配慮が求められています。
個人情報保護委員会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として個人データを取り扱う機会が増えていることを踏まえ、個人情報の保護に関する法律の関連する規定「新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした個人データの取扱いについて」という文書をHPで公開していますので、一読してみるとよいでしょう。
人材マネジメント上のポイント
情報漏洩については、その管理も勿論ですが、従業員のモラル等も重要になってきます。
人材マネジメントにおいては、そのモラルをどう形成するかだと思います。
そのためのマネジメントは、個人の特性や会社・業務に対する志向と、会社が与えるものとのギャップを埋めていくことだと考えられます。
個人の特性としては、具体的には行動特性が挙げられます。
この個人の行動特性と現在の業務において求める行動特性とのギャップが高い場合にはもしかするとその仕事に向いていない場合があります。
また、会社・業務に対して、取り組み姿勢が高いのか、それとも単に生活のためだけでに働いているのかをという本人の志向性も重要になってきます。
また、等級制度の適切な構築が必要になります。
本来、管理監督者でないものを無理矢理、管理者として認定しようとする傾向がまだ残っていますが、等級制度の構造が年功的になってしまうリスクは勿論、場合によっては、すべての管理者要件が否認されてしまう可能性があります。