欠勤した従業員に給料は支払う?間違いやすい「休業・休職」との違いも解説!
最終更新日:2024.10.24
目次
そもそも「欠勤」とは?
欠勤とは、社員が勤務日に出勤せず休むことを指し、主に給料の支払いの有無で年次有給休暇(通称:有給休暇)と区別されます。
欠勤では基本的に給与が支払われない一方で、有給休暇は労働者の権利として労働基準法第39条に基づき、給与を受け取りながら休むことが認められています。欠勤には法律上の定義は存在しないため、企業は就業規則において欠勤の取り扱いを明確に規定することが推奨されます。
これは法律違反を防ぐためではなく、労使間のトラブルを避けるために必要な措置とされています。具体的な規定内容には明確な指針が求められ、企業が労働者との間で明瞭な基準を設けることが望ましいです。
有給休暇との違いについて
有給休暇は、労働者が心身の疲れを癒やし、生活にゆとりを持てるように設けられた休暇で、条件を満たせば賃金の減額なく取得できます。
この休暇を得るには、採用から6ヶ月以上が経過し、その期間中の労働日数の80%以上に出勤している必要があります。条件を満たすと、初回は10日間の有給休暇が与えられ、その後、同様の条件を満たすことで休暇日数が年ごとに増えていきます。このシステムは、働く人の健康と福祉を守るための重要な制度です。
欠勤時の有給休暇を承認すべきか?については、下記記事でも詳しく解説していますので、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:『欠勤を有給休暇にすることは承認すべき?欠勤と有給の違いとは?』
休業・休職の違いは?
欠勤とよく混同されがちな言葉に「休業」「休業」があります。
休業とは、「働く意思があるにもかかわらず、事業の継続が困難になった場合」を指します。これには、会社の業績悪化や自然災害など外的要因が原因で、業務が停止する状況も含まれます。休業期間中は、特定の手続きを続ける必要があり、従業員には休業手当の支払いが義務付けられています。
一方、休職は主に「長期間の休みが必要になる労働者側の事情」を指し、家族の介護や育児、体調不良などが理由で選択されます。欠勤が続くと休職へ移行することが多いですが、法律で具体的な基準が定められているわけではありません。従業員と企業間での合意が休職への移行を決める上で重要になります。
休業と休職の違いは、状況や原因によって分かれますが、どちらも従業員と企業にとって重要な選択肢です。休業では、事業が一時的に停止しても企業は存続し、必要な手続きを継続しなければなりません。休職は、従業員個人の事情による長期休みで、欠勤が続いた結果として選択されることがあります。いずれにしても、企業は従業員の状況を理解し、適切な対応をすることが求められます。
「欠勤した従業員の給料」はどうすべき?
欠勤した場合、一般的には「ノーワークノーペイ」の原則に従い、労働を提供しなかった日の給料は支払われません。
月給制の場合、月給から欠勤日数に応じた割合で給料が減額されることが一般的です。給与計算の際には、1日あたりの給与額を基にして、欠勤日数分の金額が差し引かれます。
ノーワーク・ノーペイの原則とは
ノーワーク・ノーペイの原則は、
という考え方を指します。
この基本に従えば、欠勤により給料が減額されるのは合法であり、欠勤者はその分の賃金を請求できません。
ただし、有給休暇は法律で給与が支払われる休日として認められていますし、会社都合での休業の場合は、労働基準法に基づき、平均賃金の60%以上の手当が支給されることが必要です。しかし、この原則は給与計算の基本であり、法律で定められていない部分は各社の裁量によります。
ノーワーク・ノーペイの原則(労働基準法24条)
賃金は、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
引用元:『e-Gov法令検索|労働基準法』
無断欠勤が続いた場合、どのような影響があるか
無断欠勤は、事前の連絡なしに勤務を欠く行為で、会社からの信頼を大きく損ねる行為です。無断欠勤が続く場合、ケースによっては減給やボーナスのカット、業務評価の低下といった低評価の対象とすべき旨を明示しておきましょう。特に2週間以上続く無断欠勤は、極端なケースでは会社としては解雇を行うことも可能です。
無断欠勤は、会社や同僚の指揮を提げてしまう恐れもあるため、必ず無断欠勤を起こさないためのルールづくりを行うようにしましょう。
欠勤(無断欠勤)が続く理由と、会社としての対応は?
従業員が無断欠勤をする理由は多岐にわたり、これには個人的な理由から職場環境に起因するものまで含まれます。以下は無断欠勤が発生する主な5つの理由と、それぞれに対する解決策です。
遅刻を隠すための無断欠勤
欠勤してしまう最も大きな理由として、寝坊や二日酔いなど、自己管理の不徹底が原因で遅刻を隠すために無断欠勤するケースがあります。
解決策としては、従業員の健康管理や生活習慣の改善をサポートするプログラムの導入や、遅刻に対する社内規定の見直し、柔軟な勤務時間制度の検討が有効です。
精神疾患による無断欠勤
うつ病やストレス障害など、精神疾患によって連絡が取れなくなることがあります。
このような場合、従業員が専門の支援を受けられるようにするために、メンタルヘルスケアの体制を強化し、カウンセリングサービスの提供や職場復帰支援プログラムの導入が重要です。
職場環境の問題
セクハラやパワハラ、長時間労働など、職場環境が原因で無断欠勤することもあります。これを解決するためには、ハラスメント対策の徹底、労働時間の適正管理、コミュニケーションの改善など、職場環境全体の見直しが求められます。
緊急事態による無断欠勤
事故や急病、逮捕など緊急事態が発生し、連絡が取れない状況も考えられます。
こうした場合、従業員が緊急時に連絡を取る手段や手順を事前に確立しておくことが重要です。また、緊急連絡網の整備や、緊急時の対応プロトコルを策定することが有効です。
退職を目的とした無断欠勤
職場の人間関係や労働条件などに不満を持ち、退職を決意して連絡を絶つケースもあります。
これには、定期的な面談やアンケートを通じて従業員の意見や不満を聞き出し、適切な改善策を講じることが解決策となります。また、キャリア支援プログラムの提供も離職率の低下に寄与します。
欠勤により発生する従業員側のデメリットは?
欠勤が従業員に与えるデメリットとして最も直接的なのは、「給与の減額」でしょう。
多くの職場では、欠勤日数に応じて給与が削減されるため、収入に直接影響します。また、業務の遅れやチーム内での信頼低下など、職場での立場や評価にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、欠勤が多いとキャリアアップの機会が失われることもあります。
そのため、無断欠勤が上記のような従業員側のデメリットもある行為であることを、周知しておくことが大切といえます。
さかえ経営では、給与計算のアウトソーシング、社員間のトラブル解決など労務に関するあらゆる問題解決をサポートします。
無断欠勤を起こさない・容認しない「会社のルールづくり」が大切!
多くの従業員を雇う以上、欠勤などの「社員の休み」に関するトラブルは発生してしまうものです。大切なのはこのような無断欠勤を会社として容認しないこと、そして再発しないような会社としての「ルールづくり」を行うことが非常に大切になります。
さかえ経営では、東京エリアの企業(200〜1,000名規模)における問題社員とのトラブル解決などの実績をもとに、欠勤や有給休暇に関するトラブル解決、根本的な「就業規則のルールづくり」などをサポートいたします。
従業員の欠勤・有給休暇の処理についてお困りの人事・労務の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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