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最終更新日:2024.10.24
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社労士:
森田 征
判例等により、残業代は1分単位で支給することが規定されているため、「違法」になる可能性が高いです。
目次
当社はタイムカードを利用して出退勤の時間を管理しており、残業代の計算にあたっては、タイムカードの打刻時間から15分未満の時間は除外して計算をしています。
しかし、最近一部の社員がこの処理は違法であると主張し、タイムカードに記録された時間を全て賃金計算に反映させるべきだと要求しています。
この主張を退けることはできるのでしょうか?
判例等により、残業代は1分単位で支給することが規定されています。
そのため、
とみなされます。
19時28分にタイムカードを打刻した場合、19時15分までを就労時間とみなすという方法です。
事務処理が簡略化されることに加え、業務を終了した時からタイムカードにたどり着く時間を効率的に控除できることから、わりと多くの会社で採用されている方法ではないでしょうか?
しかし、この13分の切り捨ては従業員の目線からは「給与の未払い」にほかならず、社員満足度の低下につながるばかりか、労働基準監督署より指導や罰金の対象、さらには訴訟となる可能性もあります。
とはいえタイムカードの打刻時間が実際の労働時間と完全に一致するわけではないでしょう。
たとえば業務終了後に社内で行われる立ち話や打刻機への移動時間など、実際には労働とはみなされない時間が含まれているケースがほとんどです。
「ノーワーク・ノーペイ」の原則により、このような非労働時間にまで賃金を支払う必要は当然なく、会社側としてはできるだけ正確に「就労時間」を把握したいところです。
定時で帰宅する場合でも、定時ちょうどにタイムカードを打刻できることは稀でしょう。
例えば定時が17時の会社で17時8分にタイムカードが打刻されていた場合に、8分について残業代を支払うというのは少し実態にあわないように思われます。
たとえ残業代については打刻通りに分単位で計算することにしたとしても、この8分の端数については何かしらの方法で切り捨てたいものです。
しかし、たとえそれを防ぐためであったとしても「一律に端数をカット」としてしまうと違法とみなされる可能性があり、注意が必要です。
タイムカードを押す前の立ち話を禁止する通達を出し、社員に対して時間の大切さを教育します。
さらに、就業規則に「業務終了後すみやかにタイムカードを打刻しなかった場合」を懲戒規定として追加するなどの対応も有効です。
タイムカード打刻を電子化することにより、各社員のPCやスマートフォンで打刻できるようになります。
これにより、業務の終了と打刻時間との差を小さくすることが可能です。
また電子化により就業時間の集計も自動化されるため、事務処理の大幅な効率化につながります。
残業代の計算をするにあたっては、1分単位での計算が必須となります。
しかし、定時帰宅時の打刻端数分に残業代を支払うのは、とても実態にあっているとはいえません。
これは、残業については事前の申請がある場合に限ることにより防ぐことができます。
事前の申請がない場合には一切の残業を認めないことを明確に規定し徹底することにより、無駄な残業を防ぐ効果も期待できます。
まずは社内規定や申請書様式などを整備し、その後全社員に徹底していきます。
残業時間の計算は、労働基準法の規定により分単位でおこなう必要があります。
従業員と会社の双方に納得感のある「時間記録方法」を、それぞれの会社に合った方法で検討していく必要があります。
タイムカードから「15分未満」を切り捨てるのは違法なんですか?