未払い賃金の清算と今後の賃金体系構築支援
2021.05.20
支出を最小限に抑え、ラインマネジメントの強化を実現
これまで、年俸制を採用しており、それぞれの裁量に任せる部分が多かった。
しかし、株式公開にあたり、労務リスクありと判断され、未払い賃金の清算を命じられました。
金額・基準に関しては、コンプライアンスにおける根拠を明確に明示するように指示されました。
これまで業務の進め方は、各部署及び個々人に任せており、給与額そのものに関しては十分支払ってきたと自負しているため、
支出をできるだけ抑え、且つ、今後の制度構築・運用に支障をきたさないことが求められました。
さかえ経営では、現行の業務内容を精査すると同時に、採用すべき労働時間の選定を行うと同時に、
今後の制度構築に向けたストーリーを考え、それらに沿った形で、未払い賃金を算出しました。
1.未払い賃金の計算
現在の業務内容を確認し、時間外対象者と時間外労働非対象の人材を分類しました。
また、それと同時に、採用される賃貸データを模索しました。
(※この時点で勤怠時間管理を全くしていなかった)
また、人事等へのヒアリング調査も実施しました。その結果、下記のことが判明しました。
(1) 管理者や自己の裁量を持って働いている人は少なからず存在する。
(2) 時間外手当非対象になったときは、45時間程度の時間外労働を含んだ金額を固定給として支払っている。
(3) 打刻等は全員に行われている。
当面の対応として、下記のように行いました。
(1) 45時間の時間外労働は含んでいるとの認識
(2) 管理監督者・みなし労働適用者を業務内容・権限等から判断する
(3) 打刻時間を集計した。
その結果、当初4億円と言われた未払い賃金が、3000万円程度にすることができました。
(各監督行政に確認済み)
2.管理者の定義
役職が多く、管理者が肥大化されている現状の中で、役職名の整理を行いました。
整理するにあたって、考慮したのは、ライン職なのか、非ライン職なのかということです。
非ライン職については、何かしらの専門スキル・役割を担っているもの以外は、時間外手当対象としました。
管理者は管理監督者、非ライン職の専門職については、みなし労働を適用しました。
法律の要件を意識しながら、当社の要件を定義し、人材の当てはめを行いました。
3.今後に向けた対応
今後は、45時間の時間外労働を別手当化や、1分単位に適切な勤怠管理の実施、時間外労働非対象社における固定給の増額など、
未払い賃金計算において、決定したロジックを元に、賃金制度を再構築しました。
また、勤怠管理等に関しては、管理者を対象に、その意義・必要性等を十分に理解させるため、
労務管理研修等を繰り返し、実施しました。
制度運用1年後には、時間外労働時間が約30%減少するという副産物も生まれました。
4.当社のその後
時間外労働対象者を選定していく中で、ある程度、求める役割等も認識することができました。
そのロジックを活かして、賃金制度の構築を進めています。
役割をそれに伴う報酬をあげることにより、従業員のモチベーションとをあげていくことを考えております。