必要人員数の把握と 業務プロセスの見直し
2020.01.28
必要人員数の把握による運営改善の実現
当社は、“ある商品”を扱っている小売業で、これまで順調に店舗数を拡大していました。
しかし、近年正社員の採用の苦戦や既存社員の離職などにより、店舗運営が困難状態になってしました。
元々、特に正社員に対しては、過重労働の傾向にあり、メンタル不調者も出ていました。
これまで培ってきた店舗オペレーションの見直しに着手するともに、労働時間削減、
さらには優秀店長像の構築、それに伴うキャリアパスの構築に着手しました。
1.長時間労働の原因調査
長時間労働の原因としては、お客様対応の一言につきました。
様々な顧客ニーズへの対応のため、突発的業務や接客時間が主体となっており、
それ以外の時間は勤務時間外に行うしかありませんでした。
また、深刻なのはそのことに対する問題意識が非常に希薄であったことです。
お客様への対応は減らすことはできない、人が足りない、労働時間が長くなる、という考え方が支配していました。
2.業務分析
全店舗に対して、業務分析を行いました。
業務分析は出来るだけ簡単にしたかったため、お客様対応種別は厳格に区別しましたが、それ以外の業務においては大雑把にしました。
メッシュとしては、接客、問い合わせ、クレーム対応、見込み客対応等に分類しました。
その結果、全体の5割以上が問い合わせ・クレーム対応になっていました。
また、間接的な業務としては、本部への連絡事項はマニュアル化されておらず、相当な時間を費やしていることが判明しました。
3.適正人員の把握
顧客1人当たりに対して、適正な業務プロを描き、業務分析の結果を基に、標準作業時間を算出しました。
その結果を基に、全店舗に対して、顧客数・商品アイテム数、面積などの指標(ドライバー)から、適正人員数を算出し、
特に現状との乖離が大きかった店舗に対しては、その原因を探るべく、追加調査・分析を行いました。
4.改善施策の実施
どのようにしたら適正人員になるのか、業務見直し検討プロジェクトを立ち上げました。
メンバーは、人材診断により、優秀な管理者に限定しましたが、当初は懐疑的な意見も多く、出席率も低調でした。
そこで、先行して、サンプル店舗の改善活動を行い、数カ月で実績を出しました(平均労働時間10減)。
その実績を元に、その要因分析や成功要因を分析し、指標の設定・KPI化を行いました。
実際の成功事例があるため、出席率もほぼ100%になり、各店舗に対して改善活動が浸透してきました。
5.システム面・社内ルールの見直し
本部への連絡事項については、別途、ワークフローシステムを導入し、簡素化を図ると同時に、
労働時間削減という効果が出る前から、ノー残業ディ や社内慰労会、育児制度の充実等も同時に行いました。
得られる効果を明確にすることが目的でした。
その結果、労働時間は減らすことができる、プライベートも充実できるということを認識させることに成功しました。
6.今後の方向性
6カ月を経過したあたりから、徐々に効果が出てきました。
それ以外の効果として、離職率の低減は顕著でした。
しかしながら、採用においては苦戦していました。
採用活動を一部各店舗に委譲し、雰囲気の良い店舗をそれぞれがアピールすると同時に、
本部への抜擢を推進することにより、非正規社員の育成も推進させ、人材不足を一定程度解消しました。